The Intelligent Sales_今井晶也  数ある書籍の中から本書を選んでいただ き、ありがとうございます。  この本は、法人営業と生成A−を研究す るセレブリックス営業総合研究所が本気で 書き綴った「営業のためのA−活用上達 本」です。  手に取った今日この瞬間から、あなたに A−営業スピリットを注ぎ込むべく、私た ちが現在持っている情報と実験結果を余す ところなくまとめました。  この本を手に取ったということは、「A −と営業」というキーワードに、多少なり とも関心をお持ちであると推察します。そ んなあなたにまずお伝えしたいことがあり ます。  次の質問は”営業職を採用する企業側” に聞いたものです。 〇、一これから採用する人は、生成A−の   利用実績や知識があったほうがいいと   思いますか? 他の能力や社風はマッ   チしていることが前提です(特に営業   系・マーヶ系)。  結果は54・9%の方が生成A−の実績や 知識がある人を優遇・歓迎すると答えまし た。  次に、”営業担当者側”に聞いた質問で す。 〇、一もし転職するとしたら、生成A−   (最新テックツールも含む)を使えたり・学   べる環境を希望しますか?(X他の条件   はマッチしていることが前提)  結果は74・2%が生成A−やデジタル活 用に積極的な企業を優先すると答えました。  この結果を受けても、営業活動における 生成A−の活用は他人事だと思いますか?  「業界にもよるよな」と思った方、ちょっ と待ってください。  本当にそれで大丈夫ですか?  少しでもドキッとした方は、本書のノウ (ウやA−活用アイデアが必ずお役に立て ると確信しています。            セレブリックス営業            総合研究所             (株式会社セレブリック            ス執行役員カンパニ−            CMO)                  今井晶也 まえがき  ある囗突然、生成AIは私の  前にやって来た  私か最初に生成AIに触れたのは、2022 年12月23囗のことでした。  その囗はウェブセミナーの撮影囗、AIのア ルゴリズムを研究してビジネスを営む株式会社 ACESの田村浩一郎社長をお招きして営業対 談の収録をしていました。  撮影も無事終わり、今年はどうだった……と か、来年はこうしたい……といった年末らしい 雑談をしていると、ふと田村社長が何かを思い 出したかのように「そういえば今井さん、 nFろ涓はご存じですか?」とスマートフォ ンを取り出し、簡単なデモンストレーションを 始めました。  その時、「凄いな、ここまできたか」と衝撃 を受けたことを覚えています。  田村社長と「これの登場で営業の世界七近い 将来大きく変わるかもしれないですね」と意見 交換をしたのが、まだわずか1年ほど前のこと でした。  とはいえこの時はまだ、気に留めない程度の 話だったというのが本音です。そこまで精度が 高かったわけではありませんし、営業パーソン の仕事をAIが代わりに行うというのは大袈裟 だろうと過小評価していたのです。  それから少し時はたち、2023年3月に nhatGPT-4がリリースされ、状況が一変しまし た。  生成AIの性能は格段に高まり、ビジネスの 世界でも実用性が現実的になったのです。  そうした状況の中、急いで生成AIの知見を 持つ有識者の方々にコンタクトをとりました。  生成AIを使いこなす先駆者の皆さんと意見 交換をする中で、この分野としっかりと向き合 わないとまずい……という危機感を抱き、私の 脳内にある非常ベルは強く大きなアラートを鳴 らしはじめたのです。  中でも、営業トレーニングアプリを手掛ける TANREN株式会社の佐藤勝彦社長から、生 成AIの活用方法やアイデアを紹介された時は、 「鈍器で頭を殴られたような」衝撃がありまし た。  生成A−で実現できる営業の変革は、あまり に可能性に溢れ、未来的でした。  生成A−が出す回答、示唆、アドバイスはど れも「プロ顔負け」の営業ノウ(ウで彩られ、 営業支援会社のセレブリックスが26年間こしら えてきた営業のノウ(ウや秘伝の技術と似たよ うなアウトプットが、生成A−によっていとも 簡単にされていくその様子に、開いた囗がふさ がらなかったのです。  特に私か出演しているYouTubeの文字起こ しをもとに、プロンプトと呼ばれる指示文を駆 使して、nF已コを「AI今井」として擬人 化させたものを見た時は茫然としました。  まるで本物の私に営業の相談をしてアドバイ スをもらっているかのような精度だったからで す。  今だから言えますが、これを見た時は「今井 晶也はもういらない」と言われている感じがし て、感動3割一ショツクフ割だったのが本音 です。  だって、そうでしょう?  営業のノウ(ウやデータをビジネスの核にし ている私たちにとって、「知財とは何か?」を 突き付けられた瞬間だったのです。心にダメー ジを負った私は、2日間ほど眠れぬ夜を過ごし ました。  2日間のショック期間が長いのか短いのかは さておき、この悶々とした感情の先には、前向 きな出口がありました。私の出した結論は、 「私かショックを受けようと受けなかろうと、 生成AIを活用する営業新時代はいずれやって 来るだろう。そうした時に、生成AIの活用方 法がわからない企業をサポートする役割が必要 なはずだ」ということでした。  生成AIの登場は「検索エンジン以来の発 明」「スマートフォンの登場以来の衝撃」など と言われるわけですが、よく考えてみれば、検 索エンジンもスマートフォンも、使う人によっ て活用度合いは天と地ほど違います。  同じ会社に勤める社員同士で比べてみても、 検索リテラシーによってリサーチできる情報や アウトプットの精度は異なるのです。  つまり、生成AIも、使いこなせる大とそう でない人の「差」が絶対に生まれるだろうと結 論付けました。  むしろ、生成A−こそ、−Tリテラシーや質 問力、事前情報の知識量によって、生成A−を 使えるかどうかの属人性が生まれる領域だと考 えたのです。  そうと決まれば、善は急げです。  筆者が在籍する株式会社セレブリックス セールスカンパニーは、主に法人営業のコンサ ルティングやセールスイネーブルメント(Sales Enablement :営業の仕組みづくり)の支援、営業代 行や営業の人材紹介などを行う、セールスエー ジェンシー(営業活動や営業組織の困りごとを解決する 代理事業を営む会社)です。  これまで1万2000を超えるサービスを各 企業に代わって売り、またその売り方を考えて きたことで、法人営業や新規営業の成功するパ ターンや失敗するパターンを形式化して、実績 と理論に裏打ちされたメソッドを有しています。  さらには、2023年H月には、「セレブ リックス営業総合研究所」という、法人営業と 新規営業の調査研究機関も立ち上げ、様々な尺 度で営業に関連する情報とデータを持っている 会社でもあります。  つまり、営業マニアといってもいいほど、営 業のことを愛し、突き詰めている会社なのです。  このように事業の中核を「営業を支援するこ と」に尖らせている私たちが、営業と生成AI の未来を探求しないわけにはいかないのです。  営業支援会社の誇りと使命を胸に、生成A− を活用して営業活動やセールスプロセスの支援 をするべきだと「肚決め」しました。  そこからは疾風のような決断と判断を行いま した。  まず、私の役割(時間の遣い方)を見直しまし た。最高マーケティング責任者・新規事業開 発・副カンパニー長とマルチな仕事を展開して いた私は、その役割の半分を返納する形で、A Iタスクフォースという生成AIと営業を研究 するプロジェクトに充てました。  柔軟な発想を持つ若いメンバーにタスク フォースの運営を任せることも考えましたが、 経営ボードに参画するメンバーで生成AIに明 るい人間がいないことは、中期経営を計画する 上でのリスクのひとつになると判断したからで す。  かくして、衝撃と共に生成AIの研究をス タートした私か、今このように生成AIの魅力 に心を弾ませ、営業の新たな可能性を信じて一 冊の本にまとめようとしています。  なかなかどうして、世の中はやってみないと わからないことに謚れているようです。   「生成AI活用普及協会」と  は冫・  生成AIの活用における実証実験や発信活動 を続ける中で、一般社団法人生成AI活用普 及協会(GUGA)と出会いました。  GUGAは、生成AIを社会に実装し、産業 の再構築を目指す一般社団法人です。その第一 歩として、生成AI活用スキルの習得・可視化 を推進するべく、資格試験「生成AIパスポー ト」を提供しています。  生成AIは、職業によっても取り入れやすさ が異なります。職業によっては、生成AIの知 識を装着すれば、日常の業務を変革させるイン パクトがあることでしょう。「営業」という仕 事は、登場人物が必ず2人以上になるコミュニ ケーション職の代表のような職業です。  仮に生成AIの知識やテクニックだけを知っ ていたとしても、営業職や営業活動への理解、 何よりお客様の気持ちに寄り添うコミュニケー ションができなければ、生成AIを活用する恩 恵を受けることはできません。  場合によっては、生成AIがアウトプットす る誤った知識を装着してしまうことで、お客様 の購買体験を悪化させるリスクすら秘めている のです(この辺りについては本書の中で詳しく解説して います)。  そうした中で、私の持つ法人営業・新規営業 という専門知識と、生成AIの「活用を普及さ せる」というGUGAの思想はとても相性がい いものでした。  現在は私もGUGAの協議員に加えていただ き、営業分野での生成AI活用の普及を推進し ています。  GuGAと私を引き合わせてくださいました、 cyn巨aly株式会社の国本知里さん(GuGA協議 員)に、この場をお借りしてお礼申し上げます。  生成AIは本当に営業の仕事  を奪うのか7・  さて、本書を読み進めていただく前の最後に、 多くの営業職が不安に感じる「問い」に私なり に答えておきたいと思います。  結論としては、現段階で即座にA−が営業 パーソンに取って代わるという考えは時期尚早 と考えています。  お客様も全員AIに変わるのであればともか く、「お客様は機械や自動販売機からモノを買 うのではない、人から買うのである」という言 葉が頭をよぎります。  この傾向は、法人営業や金額の大きな大型取 引になればなるほど強まります。  特にお客様(購買者)にとって、新規の取引先 から新規の商品・サービスを購入する場合は尚 更です。  お客様になったつもりで、購買を進める想像 をしてみましよう。  あなたが購買の推進担当者たった場合に、 (導入に向けた)稟議書を作成するプロセスで、 「生成AIがA社の商品がマッチングすると回 答したため導入する」と、馬鹿正直に書けるで しょうか。  現状ではとても書けませんよね。  稟議過程で上席から「ちゃんと話は聞いたの か? 他の会社の製品も比較検討したのか?」 と問いただされるのが関の山でしょう。AI任 せの稟議書のせいで「仕事のできないヤツだ」 と負のレッテルを貼られたら、たまったもので はありません。  加えて、営業とお客様の人間関係や信頼関係 によって、購買活動においてもお客様側の「感 情」や「気持ち」が入るものです。営業と購買 活動において、100%合理的な判断だけで商 談が進むかというとそうではありません。時に は「熱意」や「誠意」に胸が打たれて、購買の 意思決定をするということがあるのです。  完璧な商品やサービスというものには、なか なか巡り合うことができません。うまくいくか どうか、保証された未来も存在しません。  そうした中で意思決定の動機になるスイッチ は、「この営業に信じて頼ろう」という精神的 な孑孑ルギーだったりするのです。つまり、ど れだけ正しそうなことを言っていても、ロボッ トや生成AIの提案だけで意思決定をする可能 性は、現段階では低いといわざるを得ません。  一方で、セールスプロセスや営業周辺の業務 には、人が遂行しなくてもよい仕事はたくさん ありますし、業務遂行スキルによって、作業時 間にムラが発生しているのも事実です。  会議への参加、議事録の作成、営業活動の報 告やレポート、提案書の作成、商談の準備、そ の他提出物など、数え上げたらキリがありませ ん。こうした営業付帯業務を生成A−で短縮 化・自動化することができれば、営業生産性は 間違いなく高まります。  また、大が実施したほうが精度が高い仕事で あっても、人の実行パフォーマンスにはムラが 生じます。  夜遅くにマネージャーに相談した質問の回答 は、疲労した状況の中でのやっつけな回答が 返ってくるかもしれません。  相手のタスクが多い環境下での相談事項は回 答がタイムリーではなかったり、場合によって は気分を害されることがあるかもしれません。  このように、これまで同期環境(。つずっ進め なければいけなかったこと)を生成AIを活用する ことで、営業が知りたい内容を、知りたいタイ ミングで、相手の状況に左右されることなく取 り組めるようになるといえばどう感じますか?  営業活動の付帯業務の非同期化『同時進行匸』 そ、生成AIによって受けられる恩恵のひとつ だと考えます。  これによって、これまでの営業活動における スケジュールの組み方が、一つひとつのタスク 処理の世界線から、お客様と向き合うセールス ピュアタイム以外は同時進行という世界線が存 在するのです。       −−       一営業業務上の効率はあっても、お客        様との人間関係に効串というものは  存在しない 一ただしA−を利用できる大が、A−  を利用できない人の仕事を奪つてい  くという世界は現実的にあり得る 本書の扱い  私は生成A−のサービスに対して優劣 をつけたり、評価を行う立場にはありま せん。  したがいまして本書は、特定の生成A −の利用を推奨したり、生成A−アルゴ リズムや仕様について言及することはあ りません。生成A−のサービスや具体的 仕様手順が知りたい方は、WEBや動画、 書店にならぶ解説書をご覧ください。  本書に登場する参考例、プ囗ンプトは 理解や活用を効率的に促すためのサンプ ルであり、すべての生成A−サービスで 同じように作動するか、比較検証や実証 実験を行ったものではありません。利用 する生成A−サービスによって、生成A −の回答内容や傾向は異なる可能性があ ります。  また、生成A−が動画・画像・音声・ テキストと多岐にわたるクリエイション やコンテンツを生成できるサービスやア プリケーションがある中で、本書で解説 する生成A−は、テキストの生成という 点を中心に解説しています。  理由として、本書をお読みになる営業 職・営業関連職の対象は、法人営業と新 規営業と、対象範囲を広くしています。 したがって、動画や画像を生成する必要 のない営業担当者が一定以上いると考え たためです。  本書で目指していることは、営業活動 のプロセスを生成A−やデジタルを活用 することで、インテリジェント(知性的) でスマートな営業活動を実行するための アドバイスを行うことです。  いわゆる、3K営業(勘・経験・根性) といった旧式のセールスプロセスをス マートに磨き上げるための、生成A−の 考え方や新しいセールスプロセスの設計 を目指した「営業技術や営業知識」に関 する書籍です。  また、筆者は法人営業と新規営業を研 究するセールスエバンジェリスト(営業 モデルの研究発明家)です。本書で語られる ことの多くは、法人営業の直販を中心と した景色の中で物事が語られることが基 本です。  ただし、個人向けの営業や、官公庁向 けの営業、代理店などのパートナー協力 の営業活動でも転用できることは多くあ ると考えます。  2023年は「生成A−元年」といって も大袈裟ではありませんでした。  私たちのビジネスを取り巻く環境は生成 A−の登場によりいろいろな場面でゲーム チェンジが起きようとしています。  生成A−に正しい指示・問いかけを実行 し、適切なコミュニケーションのラリーを 繰り返すことで、職人技と呼ばれ続けてき た秘伝のノウ(ウや知識にアクセスできる ようになりました。  いわば、生成A−の登場は「職人芸の民 主化」ともいえます。  画像や映像のクリエイションも、文章の 生成も、音声も、表や囗ジックツリーにま とめる作業も、生成A−の活用によって ”まるで未来の世界にワープしたかのよう なスピード”でアウトプットされていきま す。  一方で、私たち「営業職」においてはど  営業の世界でも一時的に話題にはなった ものの、日常的に生成A−を活用して業務 にあたっている人はまだぶ」くわずか”で す。  企業のセキュリティやコンプライアンス において、ガイドラインや方針が定まって いないというケースもあれば、利用してみ たが期待した成果やアウトプットが出てこ ないことで、習慣になる前に取りやめてし まったというケースもあるでしょう。  しかし最も多いのが「自分の仕事には必 要ないと思っている」という情報遮断です。  私たちが受け止めなければいけないのは、 生成A−を活用したセールスプロセスを築 き上げることに今取り組むことでビジネス における先行者利益を得られるのか? あ るいは、現段階で取り組まないとすると未 来の競争力において何を失うことになるの か? ということになります。  未来から逆算して今を見据えた時に、生 成A−とどう向き合うべきか判断が必要で す。  そのためにもまずは、私たちを取り巻く 生成A−と営業の実態を正しく把握してお く必要があるのです。  生成AIと「インテリジェン  トセールス」  まずは生成AIの基本的な概念や、生成AI サービスを展開する主要プレイヤーを押さえま 生成A−とは  生成A−とは、ジェネレイティブA−とも  呼ばれる人工知能の一種です。  テキストー音声・動画・画像・コードなど  様々なコンテンツを生成できるA−を指し  ます。従来のチャットポットのように、単  調な質疑に応答するだけでなく、物語や作  品・アイデアの提案に至るまで、クリエイ   ティブな成果物を出力できるのが特徴です。   生成A−の活用はビジネスシーンにおいて、   業務効率化や壁打ち相手、アイデア創出な   ど、幅広い活用シーンと多くのメリットが   期待できる技術です。  なお、私たちがビジネスシーンで触れること のできる生成AIは、以下のような場面で利用 することが考えられます。 一特定のコンテンツ(動画やテキスト等)を作成す  るために利用する 一従来の汐乱やICTサービスに生成AIが  実装された(組み込まれた)ものを利用する  また本書では、このような生成A−を営業プ ロセスに取り入れた営業活動のことを、知的で スマートな営業活動という親しみをこめて「イ ンテリジェントセールス」と呼び、営業活動に 生成A−を駆使した活動を行う人を「(セールス) A−パフォーマー」と呼んでいます。  本書の冒頭[本書の扱い]でも記した通り、 AIパフォーマーが利用する生成AIは活用場 面が多く、想像がしやすいテキスト系の生成A Iをイメージしながら解説をしています。  次に、生成AIサービスを展開する主要プレ イヤーの紹介です。  2024年2月末時点のテキスト系生成AI の主要プレイヤーは、次の通りです。  生成AIを利用していない、  禁止しているのは「η一・  1%」  セレブリツクス営業総合研究所では、 2023年D一月に生成AIと営業における利用 実態調査を営業職・営業関連職1000人に対 して実施しました。  これまでも、生成AIの利用率や実態調査を したレポートはありましたが、生成AIが話題 になってからちょうど1年たった「現在の状 況」を正確に知っておくためです。  また、営業の実態調査においても企業の規模、 所属業界、在籍する都道府県別に傾向が読み解 けるように、様々な名義尺度(カテゴリ)で調査 を実施しています。  なお、今回の調査研究の諸条件は次の通りで、 2023年12月に実施しました。  営業における生成AI活用の実態調査レポー トセレブリックス営業総合研究所調査  [回答年齢一23〜59歳]  ■年代分布 20代一240人 30代一   261人 40代一259人 50代一   259人  [属性]営業職(B10B)/所属の従業員規模、 業種問わず/居住地全国/性別問わず  まず、企業規模や業界などのカテゴリを分け ずに、1000人に聞いた生成AIの実態調査 の結果として、〈生成AIツールやサービスは 導入・使用していない〉が44%で〈全社的に生 成AI活用の許可が出ていない/禁止されてい る〉が28・1%と、生成A−を利用していない と答えた営業職が72・1%いることが把握でき ました([図1‐1]参照)。  一方で〈全社的に生成AIツールやサービス を導入・使用している〉と答えた割合はH%に 留まりました。  実はこの数字、筆者が8月にX(旧名Twitter) で営業職にアンケートを取った際に、「日常的 に生成AIを活用しているか?」と聞いた時も H%と同じ結果だったのです。  つまり、営業職における生成A−は半年近く だっても(2023年12月末現在)、まったく利用 が進捗していないことがわかります。  なお、従業員規模別に〈全社的に生成AI ツールやサービスを導入・使用している〉と答 えた属性を比べてみると、従業員1〜50人で 6・4%、51〜500人で10・2%、501〜 1000人で12・8%、1001人以上で14・ 5%と、意外にも生成AI活用人口としては、 大手企業や中堅企業に所属する人が多かっだの は新たな発見でした。  またすべての従業員セグメントにおいて、 〈使用していない/禁止されている〉の合計が 過半数を超える結果となりました。  続いて、生成AIを導入している企業に対し て「社内で生成AIが導入された目的で当ては まるものをすべて選んでください」という質問 に対して得られた回答が[図1‐2]となりま す。  このデータはあくまで企業が生成AIを導入 した目的です(個人利用としての導入目的とは異なる)。  [図1‐2]のように生成AIを利用する目的 は、作業の生産性や効率の向上が主であること がわかります。この背景には、単純な業務効率 の向上だけでなく、来る労働生産人口の低下、 そしてすでに始まっている「営業職採用の難易 度向上」という時代環境の影響があり、少ない 人数でもパフォーマンスを落とさない体制を試 行錯誤している裏付けと考えてよいでしょう。  また、データドリブン経営やデータドリブン セールスの延長で、生成AIを活用し、データ をもとに最適な意思決定をしたいという目的も 目立ちました。  加えて、新しいビジネスチャンスを模索する という狙いや顧客体験やサービス品質向上を目 指すといった、ビジネス開発やサービスのアッ プデートとしても利活用が検討されていること がわかります。  次に[図1‐3]を解説します。この図は 「生成AIを活用したことで、会社のコスト削 減・業務効率化はできましたか?」という質問 の回答です。こちらも個人単位ではなく、会 社・組織単位での質問です。 〈コスト削減・業務効率化できた〉と回答した のが19%、〈どちらかといえばコスト削減・業 務効率化できた〉という回答が34%、つまり、 生成AIの導入で一定のコストカットや業務改 善が見込めている割合が53%という結果となり ました。このことから過半数以上の企業で一定 の成果が出ていることがわかりますが、まだそ の数は多いとはいえないようです。〈わからな い〉と答えている層が25%いることから、現段 階で実証実験中や生成AI活用の知見を溜めて いる途中の企業が多いこともうかがえます。  一方で、22%の企業は生成AIの活用によっ ても満足のいく成果が出ていないことがわかり ます。  生成AIを導入しても、習慣になる前にあき らめてしまったり、リテラシーや習熟度合いに よって生成AIにアウトプットさせる情報が異 なることが、このような結果に影響を及ぼして いる可能性があります。  ではコストカットや業務改善が見込めた企業 に、従業員規模と相関関係があるかどうかも確 かめましよう。  [図1‐4]では、先はどのコスト削減や業務 効率化がくどちらかといえばできた〉以上の、 ポジティブ回答をした企業を対象に、従業員規 模別に割合を出してみました。  コスト削減の影響結果は、従業員数に比例し た結果とはなりませんでした。  しかしご覧の通り、1000人以上の大手企 業群での数、シェア率が高いことがわかります。 営業職の人数が多くなればなるほど、標準化さ れた仕組みや手順が生み出される恩恵を受けや すいことがわかります。  例えば1人当たりの業務効率が改善され、商 談以外の業務時間が1週間で2時間削減される だけでも、1か月で営業職1000人×4週間 ×2時間=8000時間短縮されることになる わけですから、そのインパクトは大きくなり、 コスト削減を体感できることでしょう。  同じように、[図1‐5]では「生成AIを 活用したことで、会社の営業実績・売上は向上 しましたか?」という質問をしました。こちら も個人単位ではなく、会社・組織単位での質問 です。 〈営業実績・売上が向上した〉と回答したのが 16%、〈どちらかといえば営業実績・売上が向 上した〉という回答が34%、つまり、生成AI の導入でトップラインの向上が見込めている割 合が50%という結果となりました。[図1‐3] の「コスト削減の実績」データと比較した場合、 3ポイント下がる結果となり、コスト削減と比 較して「変わらない」と答えた層の割合が増え たことがわかります。  いずれにしても、生成AIを活用した「イン テリジェントセールス」における、実績作りに はまだ多くの企業が課題を抱えていることが、 これらのアンケートからわかります。  なぜ、社内で生成AIを導入  しないのか冫・  続いては、視点を変えたリサーチ結果を見て みましよう。  話題にはなり続けている生成AIが、時を経 てもなかなか導入が進んでいかない理由をひも といていきます。  [図1‐6]では「社内で生成AIを導入して いない理由・生成AIへの懸念として当てはま るものをすべて選んでください」という質問の 回答を可視化しています。 〈わからない〉以外の回答で目立つだのが、 〈そもそも求めていない、必要ではない〉で24 %と他と比べて高い結果を示しました。この結 果にはいくつかの仮説が想定されます。 @生成AIに対する理解や知識が乏しい F生成AIのような未知なるものへの不安や不  信、ある種の違和感を抱いている Bうちの業界は特別だから生成AI等の情報に  頼った営業活動なんてできないと決めつけて  いる  次に、ここからピックアップしたリサーチ結 果は「営業担当者個人」に向けた質問です。  「あなたが業務で生成AIを活用する際の目的 で当てはまるものをすべて選んでください」と いう質問には[図1‐7]のような回答結果が 集まりました(※複数回答可)。  回答として目立つだのが、〈営業リスト作成〉 で34%、〈ターゲット選定〉で20%という結果 でした。個別商談での利用よりも、顧客戦略や 戦術に関わる場面で利用していることが多いよ うです。  ターゲットリストを作成するためのターゲ ティングとリストアップで54%のシェアを示す ことから、営業によって属人性が発揮されやす かったり、時間がかかるために効率化を図りだ いという狙いがあるかもしれません。  最後にピックアップしたリサーチ結果も、営 業担当者個人向けのものです。  「あなたが業務で生成AIを活用する上で特に 課題だと思うものをすべて選んでください」と いう質問には[図1‐8]のような回答結果が 集まりました(※複数回答可)。  個人の利用であっても、生成AIを利用する 上での課題はくわからない〉が最も多く23%、 〈そもそも求めていない、必要ではない〉で12 %という結果でした。営業担当者からした場合、 新しいことを覚えたり、仕事が一定増えること への拒否感というものが考えられます。  〈使えるかどうか不安〉〈イメージが沸かない〉 〈わからない〉といった、生成AIの理解や生 成AIでできることへのイメージ不足の回答が 合計でわt%のシェアを占めています。  また、〈新しい技術への抵抗〉〈生成AIを信 用しきれない〉といった、生成AIそのものを 懐疑的にみる回答も13%ありました。  以上、まずは営業組織や営業活動を取り巻く 「生成AIの実態」の情報提供となります。  生成AIを使いこなせる「営  業パーソン」になれ’・  これまで見てきた結果から、生成AIが何と なく有益で、使いこなすことができればそのポ テンシャルは大きいという期待を抱いている人 は多いはずなのに、日常的に使いこなせている 人はごくわずかであるということがわかります。  しかし、ご覧いただいた通り、すでにコスト を削減している企業も、業務改善に繋げた実績 も、売上が向上した事例も登場しているのは確 かな事実です。  加えて、セールスプロセスに生成AIやデジ タル活用を取り入れて、営業活動や顧客体験を スマートにしている企業はすでにあるのです。 こちらについては、ぜひ第3章や第6章をご覧 ください。  企業・個人としてAIプレイヤーになるかど うかの意思決定は、あなた次第です。  しかし、少なくとも生成AIを活用して何か できるのか、あなたの営業組織や営業活動、そ してキャリアにどのような影響があるのか、全 容を理解しないで判断するのは愚策だと思いま せんか?  次の第2章以降では、インテリジェントセー ルスがもたらすインパクトや可能性を。お腹 いっぱい”存分にご紹介していきます。       −−       一営業組織で生成A−を日常的に利用        しているのは11%。しかも半年たっ        ても増えていない       一生成A−に対する理解不足、イメー  ジ不足によって活用のイメージが湧  いていない人が大半である 一成果を出している企業や人がいる以  上、インテリジェントセールスを理  解した上で導入や推進の可否を決め  るべきである  サプリメント。  それは、栄養補助食品とも呼ばれ、栄養 成分を補強し、健康の保持や、健康増進お よび健康管理の目的のために摂取される食 品です。  生成A−は営業にとって「サプリメン ト」といえるかもしれません。  サプリメントはそのバランス、医薬品と の併用の組み合わせが悪ければ、健康被害 をもたらす可能性があります。これは営業 でいえば、生成A−が出す情報を鵜呑みに して、商談で用いてトラブルを起こすとい う構図に置き換えられます。  サプリメントの注意書きには「主食、主 菜、副菜を基本に、食事をバランスよくお 召し上がりください」といった文言が記載 されています。これは、サプリメントはあ くまで”補うものだ”という注意喚起とも いえます。営業に置き換えれば、「生成A −で情報を得たり、無駄な作業を短縮でき たところで、ビジネスパーソンや営業職と しての基礎ができていないとその効き目は 期待できませんよ」と訴えかけているかの ようです。  生成A−は、あるだけであなたの望みを なんでも叶えてくれる魔法のランプでも、 魔法の杖でもありません。コトが思い通り に運ぶかどうかは、あなた自身の経験や知 識、そして教養も必要です。  特に営業活動においては、唯一無二の正 解というものは存在しません。売り手サイ ドで考えた場合、営業が所属する業界、商 文化、取り扱い商品によっても、正しい営 業についての解釈は変わります。  一方で買い手サイドから見ても、面会者 の役職や立場、所属部署、追っている目標、 企業規模、エリア、購買傾向によって、お 客様が「されたい」と感じる営業は異なり ます。  もっといってしまえば、同じお客様で あっても、その日の気分や状態によって、 心地いいと感じるコミュニケーションは異 なります。  相手がいて初めて成立するのが営業であ り、コミュニケーション職です。  私たち営業は、生成A−の示す答えや結 果に振り回される側になってはいけません。  私たちが目指すのは、より良い顧客体験 と営業活動のために、生成A−を使いこな す側でありたいものです。  生成A−は営業にとって正しい「サプリ メント」であるべきなのです。  セールスプロセスの最適化を  生成AIで実現する  特に法人営業・新規営業において成果を出す ためには、セールスプロセスを最適化すること が必要です。まず営業の原理原則として、正し い顧客に、正しい課題を設定し、正しい(最適 な)提案を行うことができれば、自然と成約率 は高まります。  もし、成果が出ていないのであれば、セール スプロセスの過程で、前述のいずれかにバグが 発生しているために理想の結果に繋かつていな いのか、もしくは目標設定が尖りすぎていて無 理が生じている可能性もあります。  いずれにしても、営業活動の成果を最大化さ せることに向き合うならば、一人のトップセー ルスが実現するファンタスティックで再現不可 能な取り組みよりも、営業パーソン一人ひとり の底上げや、水準を高めるほうが効果的です。  あなたが営業プレイヤーである場合も、(良い 意味で)。ひとくせ”や。ふたくせ”ある再現が 難しいトップセールスの技術や技巧を真似する よりも、営業活動において間違っていることや 無駄なことをなくしていくほうが成果を高める 改善サイクルは早くなります。  少し想像してみてください。  トップセールスが表彰された時に対象の方々 は囗を揃えて「あたりまえのことを徹底しただ けです」と答えます。これについて皆さん不思 議に思ったことはないでしょうか?  「あたりまえのことを続けているだけで、そん なに成果が出るのか?」と。もちろん、あたり まえのことを凡事徹底し、継続することは決し て簡単ではありません。  しかし、この話の本質は、トップセールスの 方々が表現する「あたりまえの基準」が、私た ち一般人から見た時に「全然あたりまえじやな い、そんなのやれない」という事案のオンパ レードになっているということです。  なぜならトップセールスの方々が、これまで の仕事の過程の中で乗り越えた試練や課してき た(Iドルも、やがてそれを攻略することでい つしか習慣になり、結果として「あたりまえ」 の基準が爆上がりしているということがあるか らです。  このように、成果が出ているトップセールス の習慣を切り取って、トップセールス以外がい きなり真似しようとしても、取り組み自体の (Iドルが高かったり、長く続けるのが難しい のです。  さらにいえば、お客様との関係性やお客様の 機微にわたる反応を察知する観察眼など、セッ トになる背景や文脈と共にトレース(なぞる・た どる)しないと失敗します。  例えば、トップセールスがお客様とのコミュ ニケーションの中で、「踏み込んだ質問をする ことでお客様の課題をあらわにする」といった シーンもありますが、そのシチュエーションだ け切り取って真似しようとすると、お客様に 「いきなり失礼ですね。何であなたにそんなこ とを言わなければいけないんですか?」と指摘 されかねません。まさに手法だけを切り取った 失敗パターンの典型例です。  さて、前置きが少し長くなりましたが、営業 が生成AIを活用するメリットは、トップセー ルスを量産するマシーンとしての使い方ではあ りません。  セールスプロセスにおける「間違ったこと」 「時間がかかること」といった、負の要素を減 らすことに貢献することです。ここを間違えず に利用することができれば、文字通り「有効」 活用をすることができます。  もちろん、営業活動における「負」が減れば 減るほど、結果として業績が向上するのはいう までもありません。  生成AIを営業活動で利用す  るメリット  セールスプロセスの中で、具体的に生成AI を通して得られる恩恵は次の通りです。 I営業活動周辺における知識の向上 2営業活動の効率化 3営業活動の品質アップ 4営業マネジメントの効率化 5営業マネジメントの品質アップ 6戦略や戦術をつくるための分析効率向上 7再現性のある営業活動の推進  ひとつずつ解説をしていきます。  I 営業活動周辺における知識の向上  生成AIは、営業活動を有利に進めるための 情報収集とその情報をあなたの知識としてイン ストールするガイド役となります。  そもそも優秀な営業パーソンと呼ばれている 人で「情報・知識」を活用していない人を私は 見たことがありませんし、営業は「情報加工業 である」といわれるほどに、情報の利活用が成 果に強い影響を与えます。  「情報を制するものが営業を制する」という言 葉も、決してオーバートークとはいえません。 買おうと思つていないお客様を相手にする場合 は、態度変容や行動変容に繋がる気づきがお客 様には必要です。その引き金となるのが、情報 や知識をもとに構築した仮説だったりするので す。  しかし、営業活動を推進しながら精度の高い 情報収集や知識装着を同時に行うのは簡単では ありません。特に不特定多数の顧客を持ち、異 なる業界や職種を相手にする営業担当者は、お 客様の情報収集や知識を備えることに多くの時 間を使えていません。  加えて私たちを取り巻く環境は、様々な情報 に縊れ、まるで生き物のように日々最新情報が 更新されていきます。  生成AIはこうした情報の収集や整理を効率 化し、それを知識としてあなたのコレクション にストックしてくれます。 ●自社の業界や自社のサービス周辺の情報収集  と知識装着  自身が扱う商品の提供価値が何で、他社と比 べて機能や競争力にどのような違いがあるのか を、生成AIを活用して比較させたり、情報を 整理させることができます。  事例や実際に使われているシチュエーション、 Before Afte「の比較などを生成A−に要約させ たり整理させることで、疑似体験したエピソー ドのように自分の言葉で魅力的に伝えることが 可能となります。 ●お客様の業界やお客様の事業に対する情報収  集と知識装着  お客様やお客様企業の周辺情報に対しても、 広い知識と「耳寄り情報」を持ち合わせておく 必要があります。お客様は「私たちのことをよ く調べているな」「この営業はよくわかってい るな」と感じた場合に自己開示の量を増やすと いわれているからです。  そうした意味では、お客様を起点とした3C (Customer「 Competitor「 Company」の情報を持ち合わせ。 「御社の市場やお客様の傾向と比べると〜」「御 社のライバルの動きと比較してみると〜」「御 社の理想に対する現在の状況で生まれている ギャップは〜」といったように、比べることの できる情報を持った上で、仮説を確認したり、 問いを与えたり、傾聴したり、時に示唆をし啓 蒙をするということが求められます。  具体例として本書の第6章で事例をご紹介し ているのでご確認ください。  2 営業活動の効率化  生成AIを活用する上で、最も想像しやすい のが営業活動の効率化といえるでしょう。  生成AIといっても、実際にはどの企業の サービスやバージョンを利用するかによって、 その性能は異なりますが、生成AIは「モノ言 う優秀なアシスタント」として、お客様との直 接対話以外の業務を代行してくれます。  詳細は後述する第3章で解説しますが、代わ りに分析してくれたり、目標達成の相談役とし て壁打ち相手になってくれたり、文章をあなた に代わって生成してくれたりします。  本書の[まえがき]でも記した通り、効率化 を実現する鍵となっているのが非同期化です。 一人の営業担当者がまるで分身したかのように、 同時進行で複数の物事を進められるのが非同期 の特徴です。さらに、相手の状態に依存しない ので「自分都合で無双状態」になれるのが最高 なところです。  例えば「相談」は、従来は上司の様子や顔色 を見ながら。機を窺う”のがセオリーでした。 私自身これが本当に苦手でタイミングを誤りよ く地雷を踏んだことを覚えています。  また商談準備をしながら非同期で他の作業を 行うことも可能です。例えば生成AIに訪問予 定企業のWEBサイトやIRを要約させる傍ら で、既存顧客にお礼メールを送ったり、商談議 事録を作成するなど同時進行で仕事を進めるこ とができます。  一人が一つの仕事しかできなかった平面的な 時間の進み方から、立体的な仕事の進み方が実 現できるようになるのです。  ここでポイントなのは、営業側か主導して質 問や指示を出さない限り、生成AIはあなたを アシストすることはできないということです。 優秀といってもどこまでも受動的であるため、 あなたの表情や雰囲気を察して阿吽の呼吸で先 回りの行動することはありません。  つまり、生成A−によるアシスタントが超優 秀になるか、満足のいかないスペックになるか は、あなたの指示の出し方次第ということにな ります。  3 営業活動の品質アップ  生成AIを活用すると「営業の質が上がる」 と聞くと、あなたはどう思いますか?  もしかしたら「それはさすがに大袈裟、まだ 人間の知識や体験が勝るはず」と思うかもしれ ません。  この意見には賛同しますが、反論を述べると すれば、「意欲とコンディションを常に 100%の状態にできているか」と問われたら、 いかがでしょうか?  あなたの営業活動を振り返って、一度胸に手 をあてて考えてみていただきたいのです。 一新規の電話や手紙によるコンタクトが、テン  プレート訴求になっていたり、あるいは台本  なしで出たとこ勝負になっていませんか? ■商談準備には満足に時間が確保でき、企業ご  とに個別化された資料やトーク展開、事例紹  介などの準備ができていますか? ■準備した商談内容の仮説は、上司や先輩に相  談して仮説の精度を高めていますか? ■商談で仮説が外れた際に、仮説を呼び水とし  た次の質問や代替質問の準備はできています  か? ■初回商談の当日中に、お礼や簡単な議事録、  ネクストアクションの依頼はできています  か? また記憶が鮮明なうちに提案書の骨子  や構成は考えられていますか?  いかがでしょう?  これらは一つひとつがお客様の「買わない理 由」を減らすために必要な取り組みであり、逆 にいえばこれに反する行動をしていたり、して しまうケースがあれば、営業活動の中で「負 (マイナス)」をつくっていることになります。  比較するのが「あなたの100%の状態」で あれば、確かにまだ人間のほうが高品質なのか もしれませんが、生成A−は人間のように「疲 れない」という利点もあるのです。  もちろん生成AIはすべてを解決してくれる 万能マシーンというわけではありませんが、生 成AIが6割、7割の満足度のアウトプットを 準備してくれ、それを人の手で完成させるとい うプロセスを作れば、高い品質のビジネスを実 現できるのではないでしょうか。  4 営業マネジメントの効率化  生成AIが営業マネジメントをどのように効 率化させるかを論じる前に、営業マネジメント のあり方について目線を合わせておきましよう。  営業マネジメントの役割に触れるためにも、 まず「営業の役割」を定義します。  セレブリックスでは、組織における営業の役 割は「目標を達成すること」と定めています。 営利法人の利益目標は、事業部の目標に細分化 され、事業部の目標はグループ、チーム、そし て個人へと細分化されているため、営業パーソ ン一人ひとりが目標を達成しないと、組織目標 を達成できなくなるためです。  そして営業が「目標を達成すること」を存在 意義とするなら、営業マネジメントの役割は、 「営業が目標を達成し続けるための機能となる こと」でなければいけません。  では、組織目標を達成させ続けるために、営 業マネジメントでは何を機能させるべきなのか。 セレブリックスの営業マネジメントメソッドで は、目標達成に導く4つの管理項目を定めてい  この4つの管理項目に沿ったマネジメントを 推進する上で、マネージャーは「ヒトのマネジ メント」と「コトのマネジメント」に分類して アプローチをしていきます。  ヒトのマネジメントは、マネジメント対象者 {営業メンバ士のミー}}(意思)や動機に応じた、 キャリアの支援や成長のサポートを行うことで す。  また、営業という仕事は綺麗事や教科書的な ことだけでは片づけられない人間ビジネスです。 お客様の叱咤やクレーム等で落ち込むこともた くさんありますし、同僚と比較したり、やる気 で漲る囗もあれば自分は営業に向いていないと ゲンナリする囗もあるはずです。  その一方で、話を聴いてくれる上司がいるだ けで、前向きになれたり頑張ろうという気持ち になれたりすることもあるでしょう。本来、営 業とはエモーショナルな仕事です。目標達成に 向かって、チームで一丸となって成果を出せた り、目標達成という歓喜に沸くことで日ごろの 苦労を水に流しているのです。このようなドラ マチックで熱意謚れる職場環境をつくるのもヒ トのマネジメントにおける大切な仕事のひとつ です。  では、「コトのマネジメント」はどのような 役割を持つのでしょうか。  前の図でいえば、1指標管理2行動管理3 案件管理がコトのマネジメントにダイレクトに ヒットしてくるでしょう。中でもアウトバウン ド(プッシュ)の法人・新規営業のマネジメント においては、2行動管理と3案件管理を重要 視しています。  なぜなら、アウトバウンド(プッシュ)営業で は、「購買検討」の段階に人つていない買おう と思つていないお客様を相手に商談を行うこと になるからです。  そうしたお客様と向き合えば商談プロセスの 中の至るところで、買わない理由や買わない判 断が出てきて商談が前進しません。  つまり商談を前進させるためには、営業マ ネージャーは営業担当者に対して、次の2つの 点にマネジメントを効かせています。1つ目は、 営業担当者が正しいプロセスや行動を推進でき ているか。2つ目は、案件を受注に向けて推進 する上で、阻害要因や懸念事項を是正するため の案件推進のサポートです。  まさに「コト」のマネジメントは、営業成果 にダイレクトに繋がり、即効性が認められるの です。  生成A−を活用することで、営業マネジメン トの効率化が図れるのは、この「コトのマネジ メント」です。営業メンバーのプロセス数値を 生成AIに分析させて、設定すべき指標をアウ トプットさせたり、あらかじめプロンプト(生 成AIに対する指示文)の条件に、プロセスごとの チェックポイントをまとめておくことで、営業 数値を読み込ませた時に、営業活動のどこに問 題があり何を改善すべきなのかヒントを出して くれます。  また、現在はリモートワークなども増え、メ ンバーと同じオフィスで働いたり、コミュニ ケーションを取る機会が減ってきている企業も あります。そうした中で、コトのマネジメント の一部を生成A−にサポートさせる、もしくは 代行させることで、営業マネージャーの時間を 生み出し、ヒトのマネジメントに時間を当てて 欲しいとも考えます。  5 営業マネジメントの品質アップ  営業マネジメントの効率化同様、営業マネジ メントの品質向上にも生成AIは寄与できます。 そもそも私たちは、マネジメントに関する教育 や学習を満足に受けるという機会が少ないよう に感じます。  特に、営業マネージャーに関しては、営業成 績が優秀だった人がそのままステップアップの 過程でマネジメントサイドに移行することが多 くあります。  「名選手、名監督にあらず」という言葉があり ますが、必ずしも優秀な営業プレイヤーが理想 の営業マネージャーになるとは限りません。  現代においては、営業マネジメントも営業職 においても「再現性」や「平準化」が求められ る時代です。  採用が難しく、転職も盛んになった現代にお いては、今残ってくれるメンバーの成果を最大 化させるという点に、マネージャーはスコープ を当てなければいけません。そうしたボトム アップが必要な営業組織の中で、自身の成功体 験だけに依存するマネジメントは品質が高いと はいえません。生成A−や様々なデジタル、 データを活用して俯瞰的に見て最適解を求める 必要があります。  6 戦略や戦術をつくるための分析効     率向上  これまでのメリット紹介でも折に触れてきま したが、生成AIはデータや情報を取り込み、 その情報を整理・加工して、目的とするアウト プットを行ってくれます。  例えば、 一過去に受注した案件の企業属性、商談履歴、  面談者情報、ニーズ等を読み込ませることで、  結果と要因の関係を調べて、優先度の高い  ターゲテイングアイデアを出す(競合他社のリ  プレイスで受注している/上場企業が受注しているなど  の因巣を出す等) ■クロージングまでいった案件のうち、最終的  に失注した案件の失注理由と共に企業属性、  商談履歴、面談者情報ニーズ等を読み込ませ  ることで、失注理由に対する商品化施策、  マーケティング施策、アポイント獲得を目指  す役職設定、ヒアリング内容、反論対策など  のアイデアを出力させる ■契約している既存取引顧客の解約率の高い顧  客の解約理由と共に、顧客属性とニーズ種類  の因果関係を調べたり、理想とする受注時の  条件や商談獲得を洗い出す(インバウンドよりア  ウトバウンドのほうが解約率が高い/売上が50億円以下  は解約率が高いなど) ■同様に、LTV(二fe Time Value : :顧客生涯価値)  が高く、取引継続期間が長い場合の因果関係  を調べる  ここで挙げたのは一例ですが、累計総売上、 受注、案件、商談、ターゲットリードと、セー ルスプロセスにおける成果と因果の関係性を調 べたい項目に対して、高度な分析をさせること が可能になります。  7 再現性のある営業活動の推進  生成A−を営業活動のプロセスに取り入れる ことで、再現性のある営業組織づくりと営業活 動の推進に役立ちます。再現性とは、文字通り 誰がやっても同じような成果を出せたり、同じ 状態に仕上げることができるということです。  営業組織や営業活動において再現性の反対に 位置する「属人的」になる環境をピックアップ してみたので、次ページの図([2‐3])をご覧 ください。そもそも属人的な傾向になりやすい 営業活動において、3を解決する「標準化され たセールスプロセスを構築する」に生成AIは 役立ちます。  商談準備の段階で生成AIに決められたプロ ンプトで業界調査を行ったり、メールを送る前 に生成AIで誤字脱字や文章校正を行ったり、 情報収集や準備を行う上でルールや手順を設け ることで、一定の再現可能なセールスプロセス を設計することができます。  生成AIの「甘い蜜」を味わ  えるかどうかは使い手のリテ  ラシー次第  現在の生成AIの多くは、対話形式の自然な やり取りの中で、生成AIに学習させたり、コ ンテンツを生成させるというのが主流です。つ まり生成AIの活用で受けることのできる甘い 蜜は、使い手の対話力や前提知識に影響される ところがあるのです。  ところが、生成AIを有効活用できていない 人の言い分はこうです。「そもそも使い方がわ からない」「欲しい回答と出てくるアウトプッ トが違う」といったものです。こうした回答を される大に限って、実は生成AIだけでなく大 間同士の会話でもバグが起こっていたりします。  ここで少し「AIに指示できない人は、人に 対してもろくな指示を出せていない」という私 自身の実体験を紹介します。  先日、生成AIを用いてとある調べものをし た際に、求めているアウトプットとズレだ回答 が出力されたことがありました。私は生成AI を「そういうもの」と理解しているため、「質 問の出し方や条件、プロンプトの設定が甘かっ たな」と、ぶん投げ依頼をした自分の否を認め ました。  一方で、当社のメンバーに同じような仕事の 依頼をした際、希望したアウトプットが出てこ なかった時に「何でわからないかなあ」とか 「くみとってくれよ」といった、ガッカリとい う感情が湧き上がったのです。  私七生成AIと深く向き合う前は、こうした 感情を抱くことは日常茶飯事でありました。し かし、生成AIから「期待以上の回答を得るに は、使い手のリテラシー次第」と学んでから、 この事実に向き合った時に自分の感情やコミュ ニケーションがとても恥ずかしく感じるように なりました。  つまり、生成A−でも人間であっても、いい 回答が出てこない理由は、依頼の仕方が悪いか らだということに気づいたのです。  このように生成AIを使いこなせるかどうか は、使う側の知識やリテラシーに大きく依存し  では、ここからは、生成AIを有効活用する ための条件について触れておきましよう。  生成AIの得意なこと、苦手  なこと  生成AIは万能ではありません、得意なこと と苦手なことがあります。例えば、得意なこと には次のようなことが挙げられます。 ●大量のデータからのパターン認識  AIは大規模なデータセットからパターンを  学習し、類似の状況やデータに適用するのが  得意です。すでに世の中に情報やデータが集  まっているものであれば、情報のピックアッ  プもスムーズです。 ●言語生成や画像生成  テキストを生成することにおいて、生成AI  は非常に優れており、記事、ストーリー、対  話など様々な形式のテキストを生成できます。  また、与えられた説明に基づいてリアルな画  像やアートワークを生成することができます。 ●データ分析と予測  データから傾向を分析し、未来の予測や傾向 を導き出すのに適しています。 ●自動化と効率化  ルーティン作業や繰り返し作業の自動化によ り、時間とコストの節約に貢献します。  このような得意なことがある一方で、当然、 苦手な分野もあります。具体的には、次のよう なものが挙げられます。 ●文脈や背景の理解が不十分  AIは特定のコンテキスト(文脈)や微妙な  ニュアンスを完全に理解するのが難しいこと  があります。 ●創造性の限界  AIは既存のデータや情報に基づいて生成す  るため、人間の創造性やオリジナリティには  劣ることがあります。 ●倫理的判断の欠如  AIには倫理的判断をする能力がないため、 その使用には人間の監督が必要です。 ●感情や感覚の理解  AIは人間の感情や感覚を完全に理解するこ とはできません。 ●リアルタイムの適応と学習   一部のAIはリアルタイムでの適応や新し  い状況への迅速な学習が難しい場合がありま  す。また、生成AIは「〜はしないで」と いった「否定語」を理解するのが難しいと言 われています。これは人間の場合も同じで 「頭の中でカレーを想像しないでください」 と要望しても、脳内で想像してしまうのと一 緒です。  生成AIを有効活用できる4  つの条件  生成AIの性質を理解したところで、ここか らは生成AIの得意なことを意識しつつ、効率 的に駆使するために必要なことを見ていきま しよう。 @質問の精度を高める  質問の精度が高ければ、目的や狙いに沿った アウトプットを期待できます。質問の精度が高 いとは、まずは質問が明確であることです。  質問が具体的かつ曖昧さが少なく、受け手が 質問の意図を容易に理解できることが重要です。 次に関連性を持たせることです。質問が議論の トピックや目的に直接関連している状態をつく ります。  さらには具体性が必要です。質問が具体的な 情報や詳細を求めており、一般的かつ抽象的な 内容ではないことを目指します。  そのためには回答の範囲の適切さも重要です。  その上で質問の目的が明確で何を知りたいの か、何を解決しようとしているのかが(ツキリ している状態が「質問の精度」が高い状態であ リ、生成AIを有効活用するための条件のひと つです。 A「プロンプト」への正しい理解と活用  質問の精度に影響するのが「プロンプト」の 活用です。  生成AIの活用においては、このプロンプト という言葉が度々登場するキートリガーとなり ます。  生成AIにおけるプロンプトとは、AIに対 して指示やリクエストを伝えるための入力文や 指令のことを指します。プロンプトはAIがど のようなタスクを実行するか、どのような出力 を生成するかを定めるために使用されます。  期待するアウトプットを生成A−から得るた めには、背景、条件、目的などを具体的にプロ ンプトに含めることが重要です。プロンプトの 詳細や参考例は後述する付録をご参照ください。 B「「ルシネーション」に惑わされない  生成A−が回答する情報には誤情報や現実と は異なるもっともらしい答えを出力することが あります。  これを「「ルシネーション」と呼びますが、 前提として、生成AIは平気でウソや間違いを 伝えてきます。  生成AIを使う私たちは、生成AIの「何か 真実」で「何かウソ」かを見極める前提知識と、 クリティガルシンキング等の前提を正しく疑う 力が必要です。これはとても大切なところです ので、詳しくは後述します。 C生成A−が出す回答に対して”対話を重ね  夕  生成AIの有効活用をあきらめてしまうケー スで多いのが、「たった一度の対話ラリーで生 成AIの有効性を見極めてしまう」パターンで す。  人間同士の対話はどうでしようか?  主語の置き方、句読点の置き方ひとつで相手 の理解なんていくらでも変わります。  人間同士の対話であれば是正してコミュニ ケーションを続けるのに、生成AIとの対話で は、隕られたチャンスしか与えてもらえない、 それはとてもアンフェアな環境だといえるで しよう。  理想のアウトプットのためには、出された回 答に対して具体提な指示や是正を行うことが必 要です。 nM圓圃  文章の書き方や説明の仕方で、受け取 るほうの理解が変わるのは人間も生成A −も一緒です。例として次の文章を想像 してみてください。  部長は笑いながら会議に参加してい る部下を叱った  さて、笑っているのは「部長」です か? それとも「部下」ですか?  この文章を生成A−に聞いてみると、 次のページのような回答になりました (【図2‐4】参照)。  実はこのやり取り、句読点をどこに置 くかで解釈が異なる文章です。私たちの 会話や言葉には相手の受け取り方によっ て情景や前提が異なってしまうことが日 常茶飯事で発生しています。これを相手 の理解力や文脈の解釈がおかしいと一蹴 するのは乱暴です。  人間同士のコミュニケーションも生成 A−も、前提の目線と言葉合わせから始 まり、わかりやすい文章構成や理解され やすい表現を用いることが、ビジネスを 前進させる秘訣になるかもしれません。  生成AIのリスクをコント  ロールする上で大切なこと  ここまで、生成AIのメリットや有効活用方 法について触れてきました。  しかし、当然ながら生成AIはメリットばか りではありません。  生成AIは「諸刃の剣」的な側面を持ちます。  もちろん、どのようなビジネスにも一定のリ スクはつきものです。  したがって生成AIを有効活用するためには、 生成AIの特性や留意点の理解に努め、組織と してのガイドラインや営業担当者個人レベルの リテラシー向上を推し進めることで、リスクを コントロールできるようにすることが重要なの です。  このセクションは、生成AIの留意点のイン フォメーションです。生成AIの解像度を高め、 いきすぎた幻想や誤解を抱かないようにコント ロールし、リスクヘッジを図っていきましよう。 ●生成A−を活用する上での留意点 IA−は「普通に」ウソをつく((ルシネーショ  ン) 2倫理観や美意識のない判断が立場を危うく  する 3著作権等の基本を押さえるのはA−パ  フォーマーの道徳 4A−の回答”だけ”では、あなたの営業ス  キルは向上しない 5回答を選んだ責任はあなたにある  これらについて、一つずつ解説をしていきま す。  I A−は「普通に」ウソをつく  まず誤解のないようにお伝えしておくと、現 段階において生成AIは意図的に虚偽の情報を 生成するわけではありません(意図してウソをつく ようになってくると匪も末ですね)。  学習データの偏りや理解の限界、プロンプト の不明確さによって、生成A−が誤った解釈を して出力することがあります。先に記した通り、 これをハルシネーションと呼びます。  このような誤情報を出力させない質問やプロ ンプトを用いることができれば理想的ですが、 再三お伝えしている通り、人が「伝えた」と 思っている言葉には、相手に誤情報を想像させ るノイズが満載です。  ミスコミユニケーションをなくすことは不可 能に近いので、AIの出力は参考情報の一つと して扱うべきで、特に重要な判断を下す際には 追加の検証が必要です。  私か体験した具体例を挙げます。  とある大手企業のIRで公開されていた、業 績(イライトやバランスシートの情報を生成A Iを用いて要約させ、商談準備の事前知識とし てインプットしていました。  私の場合、現職がCMOと研究所所長という ことから、営業活動の主戦場に毎日向き合って いるわけではありません。  「他の仕事をしながら、効率的に準備をした い」くらいに考え、途中まで生成AIのアウト プットを信じて、それを前提に商談仮説を立て ていました。  その生成AIの出力では、売上は昨対で伸長 しているが、営業利益は前年を割っているとい う状態だったので、何か大型の投資をしたのか、 予期せぬ出費があったのか、気になってPLを 見にいくと、実際には営業利益も伸長していた のです。  つまり、生成AIが誤情報をまとめていたと いうことです。こうなってくると、私か構築し た仮説の前提はすべて変わってきます。  もし、この情報をそのまま信じて商談時に 「増収減益の理由は、何か大きな投資をしたの ですか?」なんて聞いたら大変なことになって いたかもしれません。  読み込ませる情報がテキストになっているか どうかなども、読み取りの精度に影響するとは 思いますが、やはり大切な情報やセンシティブ な情報については、自分で確認することが必須 だなと身をもって体験しました。  2 倫理観や美意識のない判断が立場     を危うくする  生成AIを取り入れようとしている企業、そ して営業担当者に私か強く意識づけしているこ とがあります。それが「倫理観」と「美意識」 を持て、ということです。  倫理観はイメージが湧くでしょう。ここでは 「なぜ美意識なのか?」ということです。  日本人が古来から持つ美意識とは、「他者を 尊重する、思いやりや礼儀を大切にする感性」 と耳にします。つまり、善いこと(美しく品性の ある行い)/悪いこと(下品で身勝手な行い)の基準 を持つということなのです。  倫理観や美意識を持つと、目配り・気配り・ 思いやりが生まれます。  それは、「私たち営業側が生成A−の利用を 許可していても、お客様企業は許可していない かもしれない」という前提への疑いを持ち続け ることに繋がります。  この前提が持てていない営業職のコミュニ ケーションやアクションは常にリスクを孕みま す。  例えば、営業担当者が商談後に議事録として お客様にメールをするとします。そのシチュ エーションにおいて、悪気なく「AIにまとめ させました」と発言することもあるかもしれま せん。  この時、お客様が生成AIの利用を禁止して いるのに営業側かお客様情報や世に出していな い機微を含む情報を生成AIに学習させてしま うのは倫理的に問題がないのか、と考えること が「美意識を持ち合わせた行動といえるのか」 ということです。  そうしたケースでは、「商談内容の議事録は 効率的だから生成AIにまとめさせよう’・」と 手法のみを切り取った方針を発するのではなく、 美意識や倫理観に則った判断軸やあり方(スタ ンスとスタイル)を教育しなければなりません。 また、今回のケースでいえば、商談における会 話情報をそのまま議事録としてまとめさせるの は危険だと考えるべきです。  こうした観点から、営業マネージャーや営業 企画・オペレーション部門は営業組織における 生成AI活用のガイドラインや手引書の作成と それに伴う教育体制を整えるべきです。  しかし、ここでポイントになることが、手段 や手法をルールとして禁止しても、その意図や 生成A−を活用する営業としてのあり方(スタ ンスとスタイル)を理解していなければ、違うと ころでミスやトラブルを起こすという可能性が あるのです。なぜならルールやガイドラインで すべてのシチュエーションを想定するのは難し い上に、記載する数が増えれば増えるほど、守 られないリスクが増えるからです。  そこで重要になるのが、倫理と美意識のセッ トアップなのです。  これはトップダウンの命令だけでは養えない、 個々の営業担当者の心に根付く感性や意識とな りますので、定期的に勉強会や考えさせる機会 を設けることも大切です。  3 著作権等の基本を押さえるのはA     −パフォーマーの道徳  生成AIの利用については、著作権や法律的 にどうなのかという疑問がセットで発生します。  しかし、営業組織で「著作権」の扱いについ て、細かく正確に指導している組織は残念なが ら多くありません。  そこで生成AIを活用する上で押さえておき たい著作権の基本をまとめました。  ただし、本書に記載するのは2024年2月 時点での解釈であり、法改正や裁判などで新し い判例ができれば、類似事案はそれに基づいて 判断されたり、傾向の予測も変わっていくこと から、適宜、自己責任で最新情報のキャッチ アップをお願いします。  次のまとめは、著作権法および文化庁の著作 権セミナー「AIと著作権」を参考文献として います。著作権法における生成AIおよびデジ タル化の対応については、すでに法第30条の第 4項が整備されており、現在、文化審議会にお いてその考え方の明確化について議論されてい ます。  それでは、まずはAIに限らず著作物を許諾 なく利用できるケースを調べてみます。 ●私的利用は著作権者の許諾なく利用すること  ができます  著作権法第30条第1項では、「個人的に又は  家庭内その他これに準ずる限られた範囲内に  おいて使用することを目的とするとき」と、  基本的には著作権者の許可を得ることなく、  著作物を複製、使用できると定められていま  す。これを著作物の「私的利用」といいます。  要約すると、個人が学習したり、情報をまと めるために書籍などの著作物を使用するのは問 題ないそうです。では、パワーポイントなどの 資料に引用したり、情報の転載をする場合はど うでしようか? ●著作権法第32条第1項に規定される「引用」  の要件を満たすか、許諾を得るか  裁判例(東京地判昭和52年7月22囗)では、「企業 その他の団体において、内部的に業務上利用 するために著作物を複製する行為は、その目 的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家 庭内に準ずる限られた範囲内における使用に あるとはいえない」と判示し、私的利用には 該当しないという立場が取られています。こ のように、業務上の利用の場合は私的利用に あたらず、著作物を利用するためには、著作 権法上の「引用」にあたる必要があります。 著作物を引用として掲載する場合には、以下 のチェックポイントをすべてクリアしている 必要があります。 −すでに公表されている著作物であること I引用の必要性があること I引用部分とそれ以外が明瞭に区別されて  いること I本文が主、引用部分が従であること  −引用部分にオリジナルからの改変が加え   られていないこと  I出典を明示すること(新聞社(出版社)名、発   行年(囗)、著者、ページ数など)  このように、企画書や提案書に掲載された第 三者の著作物は、著作権侵害の可能性もあり得 るということがわかります。同時に注意が必要 なのは、著作物の利用の仕方によって、引用元 の明記等の条件をクリアすれば使用できるもの もあれば、著作権者に承諾を得ないといけない ものがあるということです。  では、AIの場合はどうなるのでしょうか?  文化庁の著作権セミナー「AIと著作権」の 公開PDFを参考に要約してみました。文化審 議会での検討の過程では、著作物が入力される 段階と出力される段階とを分けて検討する必要 があるとの発言が交わされたようです。  〈入力〉 ●入力行為は著作権侵害にならない(条件あり)  AIに入力(学習)させる段階では、著作物  の表現や思想を変えるものでなく、著作者に  不利益を講じるものではないということから、  著作権者の許諾なく実施できるとされていま  す。ただし、著作物に表現された思想又は感  情の享受を目的とする場合は著作権者の許諾  が必要となります。また、思想又は感情の享  受を目的としない場合であっても、必要と認  められる限度を超える場合などは著作権者の  許諾が必要となります。  簡単にまとめると、入力行為自体が著作権侵 害になるとはいえないが、著作権者に不利益が 生じたり、その考えを自分のものにしようとす る場合は許可を得なければいけないということ がわかりました。  では、出力はどうでしようか?  〈出力〉 ●A−に限らず、著作権侵害になるものもあれ  ばならないものもある  結論としては、AIであるかどうかは直接関  係がない。作成(生成)されたものが、「類似  性」及び「依拠性」に該当するかどうかで判  断される。  ということがわかりました。続いて「類似 性」と「依拠性」とは何なのか、こちらも調べ てみました。  ・類似性は言葉通り複製(コピー)に関するこ   とであり、既存の著作物と似ていることで   著作権法に違反していると見なされる  ・依拠性とは他人の著作物を利用して創作し   たこと  以上となりますが、具体的にどのような時に 著作権侵害になり得るのでしょうか?  生成した画像をアップロードしたり、資料に 入れたり、複製物の販売、書籍の類似情報や依 拠性が認められた商用利用については、著作権 侵害が認められる可能性があるとのことです。 簡単に言ってしまえば、生成されたものが、 「これ明らかにコピーだよね」「この著作物を ベースに制作したでしょう」ということが認め られたら、著作権侵害になる可能性があるとい うことになります。  営業担当者は、資料や企画書に、データを用 いて説得力や根拠を示したいというケースもあ ると思いますが、生成AIにコンテンツや情報 をまとめさせる場合は十分に注意しましよう。  そして何より、人様のコンテンツを勝手に利 用・加工して我が物顔で披露する姑息な行為は、 お客様にとっての印象も悪くする可能性があり ます。ぜひ、倫理観と美意識を持った行動をお 願いします。  4 A−の回答”だけ”では、あなた     の営業スキルは向上しない  これは勘違いしたくない残酷な事実となりま すが、営業活動のガイドを生成AIが行ってく れたり、生成AIが準備をサポートしてくれて、 知りたい情報の回答を出してくれたからといっ て、あなたの営業スキルが高まったと勘違いし てはいけません。  厳密には、「生成AIの活用リテラシーが高 まる」という成長や生成AIが出力してくれた 情報を記憶したり活用することで知識や体験情 報となって成長するということはあり得ます。  しかし、生成AIが答えを出したからといっ て、あなたの営業基礎能力そのものが向上した わけではないのです。  具体的に解説します。  例えば商談準備に生成AIを活用しようとし た際に、WEBサイトなどから情報を要約させ て「質問リスト」を生成することに成功したと します。  これによって、調査や情報の整理と質問項目 を挙げるという意味での「時短」には成功して いますが、決してあなた自身の質問力が高まっ ているわけではありません。  配列された質問リストをひとつずつ確認する 行為は、傾聴でもなければ対話の中で生まれた 自然な質問でもありません。  これをされるお客様の体感は「尋問」です。  また、質問リストが存在しても、その質問に 答えていただく情報をどう受け止め、どのよう に掘り下げ、自社の提案にどうやって結び付け ていくのか、これらを同時に進めることができ なければ、優れた質問リストも台無しになって しまいます。  声を大にして言いたいことは、生成AIを活 用するということは、営業担当者の教育や教養 を身につけさせることの代替にはならないとい うことです。  生成AIで武装した状態だけで商談をすると いうことは、RPGゲームでたとえるなら「王 者の剣」「王者の鎧」といった最強武具を装備 したレベル3の勇者が強敵に挑むようなもので す。  おわかりですよね……武器は本人のスペック (基本能力)を超えないのです。  では、生成AIは営業活動の何を豊か(便利) にしているのか?  次のページの[図2‐5]をご確認ください。  セレブリックス営業総合研究所の整理では、 営業力を構造的に分解すると、営業力=営業 スキル×(テーマリテラシー+サービスリテラシー) に分けられると整理しています。  営業スキルには、営業職種(アカウント営業/ ルート営業/フアネル別営業のインサイドセールス/フア ネル別営業のフィールドセールス)や所属業界によっ てあまり影響の受けない、思考スキル(論理的思 考や仮説思考など)から、主にコミュニケーショ ン等の対人スキル(質問力/共感力/交渉力など)と、 職種や業界によって求められる専門スキル(リ スト作成スキル/IR読解スキル/3C分析など)に分 けられると考えています(セレブリックス営業総合 研究所「職種別営業スキルの調査レポートが匚」より抜 粋)。  図の右の「サービスリテラシー」は、あなた 自身の取り扱う商品の理解、競争優位性、提供 価値、選ばれる理由、ユースケースや事例の理 解度と活用アレンジのスキルとなります。  一方で図中央に位置する「テーマリテラ シー」は、特定テーマに対する基本知識のこと を指しています。主にターゲット顧客や顧客の 所属業界、顧客のビジネスといった特定のテー マに対する理解です。匸言でいえば、顧客理解 といってもよいでしょう。現在の生成A−の特 性や機能をフル活用するという点では、「営業 力」の3つの要素の中でこのテーマリテラシー に最も貢献してくれます。  生成AIの活用で得られる恩恵は、人がやら なくてもよい仕事をサポートしてもらうことで、 効率化を図るという側面の他に、商談相手の業 界理解やビジネスモデルのインプット、お客様 の見える景色での。あるある情報”や専門用語 の装着など、お客様の購買体験を高める事前情 報のインプットで効き目が表れます。  テーマリテラシーを高めるために生成AIを 活用するというポイントは、営業担当者は押さ えておくとよいでしょう。  5 回答を選んだ責任はあなたにある  AIパフォーマーとして、生成AIを活用し た営業プロセスを推進していく上での最後の留 意点は、「AIの回答を選択した責任はあなた にある」というトピックです。  言い換えれば「生成A−は出した回答に責任 を取ってはくれません」ということです。  これから先、生成AIが普及した未来の世界 では、ヒトの役割とは、自分で判断する覚悟を 持つこと、その判断に責任を持つことかもしれ ません。  そのためにも、先述した「AIの回答を健全 に疑う」というスタンスや「美意識と倫理観を もって意思決定をする」というスタイルがます ます重要になってくると考えます。  ただし、生成AIに触れてこなかったこれま での日常でも、選択の責任があなた自身にな かったかというとそうではありません。  例えば企画書のタイトルひとつを考える場合 も、過去の資料を参照したり、ネットで検索し たり、周囲に相談するなどして、いくつかの言 葉を組み合わせたり、候補の中から選択してき たはずです。  あなたが選択した小さな判断の積み重ねが、 最終的には受注・失注・中長期検討という結果 に影響を与えたはずです。  生成A−の登場は、これらの候補や選択肢を 抽出するのが、比較にならないほど容易になっ たということです。  AIドリブン(AI駆動)によるインテリジェ ントセールスとは、AIに営業活動のデータを 提供し、営業場面で必要な情報やコンテンツを 生成AIに生成させ、行動や手法を営業パーソ ンが意思決定をしていくスタイルの営業活動を 指します。  繰り返しになりますが、意思決定するのは営 業パーソン・営業担当者であるあなた自身です。 「AIが出したことなので、私はわかりません」 といった責任転嫁は通用しないのです。  以上、ここまでが生成AIに向き合う上での マインドセットでした。  次章からは生成AIをセールスプロセスに取 り込んだ、スマートなセールスプロセスの描き 方に触れていきましよう。  日本における営業活動は、今でこそDX やデジタルシフトの片鱗を見せはじめ、い よいよ革命の夜明けを迎えようとしていま す。  しかし、他の職業や職種に比べると進化 や変化が起きにくい職業と言われてきまし た。  例えば、商談においては「訪問」するの があたりまえだと考えられていたり、資料 は印刷して配布するのがマナーだと考えら れてきました。他にも、法人営業で提案書 をつくる過程では、オフィスツールのスラ イドサービスで制作するのが一般的です。 これこそ習慣に根付いた「あたりまえ」で あり、提案書作成やプレゼンテーションの あり方について疑問を唱える人が少ないの が実態です。  営業は”上司や先輩の背中を見て育つも の”という幻想や、科学的に研究がされて こなかった分野であるため、イノベーショ ンが起きてこなかった可能性は否めません。  日本の営業における進化が遅れた理由の ひとつに、「新卒の総合職」という扱いが あるのかもしれません。日本ではいまだ営 業が「修業の場」として捉えられ、総合職 の新入社員は、「皆、まずは営業を経験せ よ!・」という号令が飛び交ってきました。  営業で身につくポータブルスキルの重要 性は否定しない(ファーストキャリアとして身に っくものが多いのも事実)ものの、悲しいこと に営業職が「専門スキルが必要な技術職」 だとは認識されていない証明ともなってい ます。  その顕著な傾向として、日本の営業職の 給与はアメリカ等の先進国から見ると低く、 国内でも外資企業と内資企業では年収に差 が出てしまっています。  では年収だけ上がればいいかと言われれ ばもちろんそんなことはありません。年収 水準だけが上がっても出せるパフォーマン スが高まらなければ、営業利益率を低下さ せるだけの可能性があるのです。  営業担当者にとっても、年収が高まるの は望ましいことでも、過度に期待値が上が り目標や要望が高まって居心地が悪くなっ たり達成率に影響するのは、「望まぬ待遇」 といえるのではないでしょうか。  そこでひとつの「鍵」となるのが、営業 職の生産性向上です。  営業生産性を高めるということは、売上 (トップライン)を上げるか、コスト(お金一時 間・労力)を下げるか、利益を守るか(リス クを下げる、リスクをコントロールする)のいず れかに影響力を効かせることです。  生成A−を活用したセールスプ囗セスの リェンジニアリング(再構築)は、営業生産 性を向上させるポテンシャルを秘めていま す。  生成AIをブレンドしたプロ  セスが営業生産性を改善する  ここでは、生成AIだけでなく、「生成AI の活用も含めたデジタル活用」と主語を少し大 きくして皆さんと営業生産性の向上について考 えていきましよう。  営業生産性を高めるということは、つまると ころ、 一売上(トップライン)を上げる Iコスト(お金・時間・労力)を下げる 一利益を守る(リスクを下げる、リスクをコントロー  ルする)  のいずれかを実現する必要があります。  とはいえ「日本の営業生産性は低い」という 提言があっても、日常の経営や業務に影響する かというと、なかなか当事者意識として向き合 うことは難しいでしょう。  企業の目標達成、部門の目標達成、個人の目 標達成に向けて課題はたくさんあります。  営業界隈における社会課題などに気を配る時 間なんてありません。  しかし、これがいよいよ他人事でなくなる可 能性が出てきています。次のページのデータは、 私かX(旧Twitter)で調査をしたアンケートです ([図3‐1]参照)。  営業職側への確認事項として、「もし転職す るとしたら、生成AI(最新テックツール含む)を 使えたり、学べる環境を希望しますか?」とい う問いに対して、74・2%の人が生成A−等の デジタル対応に前向きな企業を優先すると回答 しました。  ここでわかることは、優秀な人物を採用しよ うとしたら「生成AIやデジタルシフト」に対 応していないと採用が難しくなる、ということ です。  見方を変えれば、優秀な社員が退職したり他 に転職する理由にも今後はなり得るということ です。優秀な営業担当者を確保できないという ことは、当然トップラインを上げる阻害要因に なりますし、採用コストの増加にも繋がります。 また、優秀な人材の離脱やそれに伴う組織に与 える心象への影響など、利益を失うリスクを高 めてしまうことになりかねません。つまりは、 優秀な人物を採用しようと思うなら「生成A− やデジタルシフト」に対応していないとけない ということです。  一方で、採用する企業側も生成AIの利用実 績や知識がある方を優遇・歓迎すると言ってい るのが54・9%と過半数を超えています。  ここで注目すべきは、企業側は会社で自社で 学んでほしいというニーズよりも、すでに実績 や知識を持っている人を歓迎すると言っている 点です。生成AIの利活用の有無が市場価値に 影響する可能性が考えられるということです。  生成AIX営業モデル=イン  テリジェントセールスプロセ  ス  デジタルシフトや生成AI対応等をおざなり にするということでは、起こり得る未来に対し て「営業生産性向上の断念」や「顧客体験向上 の放棄」にも繋がる可能性があります。  例えば、生成AIやデジタルを活用すること で、「お客様にとって自分たちが困っている時 に、ベストなタイミングで連絡してくれる」と いう痒いところに手が届く営業スタイルを推進 できたらいかがでしょうか? お客様にとって 「役に立つ頼れる営業」というポジションを築 けるかもしれません。  一方で、タイミングが悪い時に営業してくる 人、営業すると「最近他社製品を入れた」と言 われてしまう人は、他社と比較して営業面での 競争に負けている可能性があります。  生成AIを活用して、お客様にとって「され たい」と感じる営業活動を推進できるかどうか も営業成果、ひいては生産性に影響してくるの です。  そこで登場するのが、インテリジェントセー ルスプロセスです。  セレブリックスが提唱する新たなセールスモ デルであり、生成AIやデジタルを有効活用し た、知的でスマートなセールスプロセスのこと を指しています。  旧来型といわれる勘や根性スタイルの営業活 動では、根拠や辻褄の合わない無駄撃ち営業が あったり、お客様の体験を無視した「売り込み スタイル」の一方通行型となったりします。  このステレオタイプな営業スタイルに対して、 生成AIやデジタルツールを活用し、一方通行 型の営業から脱することができれば、。セール スプロセスも顧客体験もスマート”を目指すこ とができます。  それをひとつの図としてまとめたものが、次 のページの一覧(図3‐2)となります。  本章では、この図を詳しく解説していくもの とします。  それでは、。営業第4世代”とも考えられる 「インテリジェントセールス」と、そのプロセ ス(インテリジェントセールスプロセス)について一 緒に見ていきましよう。  そもそも「スマートな営業活  動」とは7・ 。スマート”を辞書やWEBで検索すると、 様々な意味やニュアンスと出合えます。  さっぱりしている/洗練されている/無駄が ない/すらりとしている  他にも、賢い、高性能、利口な、頭が切れる といったスペック的な意味合いがあるようです。 このことから「スマートな営業」には2つの意 味が含まれていると考えます。  ひとつめは、営業の装い・たたずまい・質 問・提案など、受け手(お客様)にとって印象や コミュニケーションがスマートに感じるという こと。つまり、商談を通して営業パーソンに知 性や洗練さを感じるということです。  ふたつめは、営業活動およびその周辺の業務 やプロセスに無駄がなく、効率的で賢く仕事が できているということです。いわゆる、「泥臭 い・足で稼ぐ・勘や根性」という、敬遠される ステレオタイプの営業と一線を画するスタイル であることです。  インテリジェントセールスと  は何かっ・  前述したように、「スマートな営業」とは必 ずしもセールステックや生成AIを利用した営 業活動を指しているわけではありません。お客 様にとって、その営業がスマートに映るかどう かは、営業パーソンの心構えや商談に向き合う 姿勢、保有スキルや経験、心の余裕すら影響し てくるからです。  とはいえ、旧来型の「勘や根性スタイル」の 営業活動は、根拠や辻褄の合わない無駄撃ち営 業があったり、お客様の体験を無視した「売り 込みスタイル」の一方通行型になったりします。  デジタルやデータを活用することで、一方通 行型の営業から脱することができるのであれば、 。セールスプロセスも顧客体験もスマートであ る”を目指すことは可能です。このように、生 成AIやデジタルを有効活用した、知的でス マートなセールスプロセスのことを「インテリ ジェントセールスプロセス」と呼んでおり、文 字通り、知性的なセールスプロセスです。  仮に、「営業1・Oをプロダクトセールス」 とし、「営業2・Oをソリューションセールス」、 「営業3・Oをコンサルティングセールス」と するなら、インテリジェントセールスは「営業 4・O」の次世代型という扱いになります。  営業3・Oのコンサルティングセールスは、 営業自らがお客様の課題を発見・特定し、理想 の未来に主導していくスタイルです。  その進化版の営業4・Oであるインテリジェ ントセールスは、データや生成A−を含めたデ ジタルの力を活用し、コンサルティングセール スを推進するイメージです。このインテリジェ ントセールスを遂行するセールスプロセスのこ とを、本書ではインテリジェントセールスプロ セスと表現しています。  インテリジェントセールスプ  ロセスと旧来型セールスプロ  セスの違い  インテリジェントセールスプロセスと旧来型 のセールスプロセスは、[図3‐2] のような 取り組みの変化やスタイルの違いを生み出しま す。  従来の営業活動における常識には、アナログ 時代の営業スタイルに築いた成功体験で構成さ れていることが多くあります。昔も今も本質的 には「お客様が買いたくなる・買わない理由を つくる」関係性は大きく変わりませんが、コ ミュニケーションやプロセスを推進する手段は、 テクノロジーを活用することでスマート×ス ムースを実現できるのです。  それでは、[図3‐2]の各項目を1つずつ 見ていきましよう。 (A)ターゲティングやリストアップ  このフェーズはターゲット企業を特定し、ア プローチ先のリストアップを行うプロセスです。  旧来型の営業組織だと、WEBサイトなどか ら手作業でピックアップしていたり、展示会リ ストやセミナー申込者、WEB上の資料のダウ ンロードでかき集めたリード(見込み客)に幅広 くアプローチしているケースを目にします。  ターゲットでない顧客層やニーズ想定が明確 でない顧客群に営業すると、仮説の精度も訴求 メッセージの鋭さも失い、丸みを帯びた当たり 障りのない営業活動を推進することになります。  「縁もゆかりもない新規リストに闇雲に営業を 仕掛けるのはインサイドセールスではなくテレ アポだ」と威勢のいい甘美な言葉を使うものの、 実態として行っていることはあまり変わりがあ りません。  営業戦略で重要なことは、「誰の」「どのよう なシチュエーションに対して(ニーズ)」「何を」 「どのように」提供するかを決め、勝ち方を特 定していくことです。  ここで指す、「誰の」「どのようなシチュエー ションに対して」を決めることが当社でいう 「探客」であり、個々の輪郭が曖昧であれば、 当然お客様を(ツとさせる訴求トークを展開で きるはずもありません。  また、リストを購入している場合も、業種・ エリア等の大きな属性カテゴリで購入している 場合にはターゲットと異なるノイズのあるリス トに営業してしまう可能性が高まります。  繰り返しになりますが、「誰の」「どのような シチュエーションに対して」をセットでターゲ ティングするのが肝です。  同じ企業でも、部署やプロダクトごとに置か れているステージは異なります。ステージが変 われば、当然、その困りごとやニーズは変わり ますし、同じ部署の同じ部門長に接触したとし ても、タイミングや状況によって温度感が低 かったお客様も、見込み客になり得るのです。  この、営業活動の至上命題ともいえるターゲ ティングやリストアップ作業も、生成AIに受 注や商談企業のデータを分析させることで、 ホットなターゲットリストの条件を出してくれ たり、ピックアップしやすい環境を提案してく れます。  最近では、リストDBを提供している会社も 生成AIの機能を持ち合わせて、「今、アプ ローチすべき会社」をレコメンドしてくれる便 利なセールステックが増えています。  必ずしも対話型生成AIですべての解決を目 指すのではなく、セールスプロセスの課題感に 合わせてフィットするテックツールを活用する のもひとつの解決策となるでしょう。 (B)接点構築・関係維持  旧来型のセールスプロセスや標準化されたプ ロセスが用意されていない場合、コール数や メール送信数など、「打った数」のみが指標と なっていることも多くあります。数を追う、量 を最大化させることが悪いとは思いません。む しろ重要です。  しかし、アタック数至上主義となり、質や顧 客体験を意識しなくなった営業活動はスマート とはいえませんし、長い目で見れば顧客離れや レピュテーションリスク(企業のネガティブな印象 や評価が広まり、ブランドや信用の価値が低下して損失を 被るリスク)を高めたり、営業担当者から見れば 長くやり続けられる業務や環境ではないとレッ テルを貼られてしまう可能性があります。  インテリジェントセールスプロセスで目指す のは、テンプレ営業から脱却し、営業品質を高 め顧客体験を向上させるコミュニケーションを 取ることです。さらにそれを生成AIやテクノ ロジーの力を使い、1社1社考える時間やカス タムする時間を極小化し、数も減らさずに質を 高めることこそが目指す世界観といえるでしよ  すなわち、営業生産性の向上です。  アタック数だけを追ってしまうと、顧客リス トの1件1件に対して、トークや文章を個別化 させる余裕がなく、テンプレ営業をせざるを得 ないという状況に陥ります。  ここでポイントになるのがバランスです。ア タック数を増やすことができれば、成果を高め るための母集団を形成できますし、数を増やす ことでお客様の声や反応を集めることが可能に なり、量質転化を実現します。しかし、行動量 を増やせば増やすほど1社にかけられる準備の 時間を失います。  一方、スマートで知的な営業活動を推進する には、無作為なアプローチを止め、個社ごとに 仮説を立てて営業活動を推進すべきです。その ほうが、むやみやたらに断られるという心理的 なストレスの解消も含めて、営業にとってもお 客様にとっても相互利益が期待できます。  しかし、その一方で多くのお客様に接触する という「量的」なアタック数の恩恵を失います。  つまり、二律背反するこの2つのテーマを解 消に向けて近づけていくアプローチこそ営業へ の改革であり生産性向上の鍵となるのです。  その上で生成AIの活用が、二律背反を雪解 けする兆しになる点に着目したいのです。  例えば、生成AIを活用することで、ター ゲット企業のWEBサイトや商品サイト、また は関係する業界やライバルのWEBサイトに至 るまで、生成AIに対象のリンクをブラウジン グ(閲覧)させることが可能です。  つまり、これまで個々の前提知識や検索リテ ラシーといった属人的で、時間が肥大化しやす かった企業調査や情報収集という行為を、生成 A−に代わりに行わせることができるのです。  その業界や市場で起こっている課題感やトレ ントと、自社商品の提供価値を組み合わせて、 個別化されたキーワードや仮説を導き出します。 そうすることでテンプレ営業から脱却し、「な ぜ今」「なぜあなたに」「どのように役に立てる のか」という個社ごとにトークスクリプトの キーワードを生成できます。  拙著『Sales Is科学的に「成果をコントロー ルする」営業術』(扶桑社)でも書きましたが、 100時間のリストの作り込みは「投資」です が、1000時間の無駄な営業活動は「浪費」 です。営業活動をしていると仕事をした気に なってしまうのが、また余計にタチが悪いので す。 (C)商談準備  お客様のすべてが自社の課題を言語化できて いるかというと、そうではありません。  また、お客様自身の課題がその組織の中で重 要かつ緊急度の高い課題かといわれると、必ず しもマッチしていないことは多いものです。な ぜなら、上位層になればなるほど、実務担当者 が設定する目標や課題は、ひとつの手段である ことが多いため、「実務責任者の課題≠経営層 の課題」となるのです(目標が上位からブレイクダ ウンする性質があるので当然といえば当然です)。  加えて、お客様は「商品が必要だ、今困って いてどうしようもない」という状態であれば、 すでに商品購入に向けて動いていたり、情報収 集を始めているはずです。そうでないというこ とは、仮に問題意識があったとしても、「解決 方法としての選択肢が少ない」か「お金をかけ てまで解決しようとは思っていない」など、 「優先度は高くない」と考えている可能性があ ります。  いずれにしても言えることは、特に新規の プッシュ営業で出会うお客様は「会ったその夕 イミングでは買おうと思っていない」というこ とになります。そうしたお客様にお役所的な ルーティンの質問や表層的な質問を繰り広げる だけでは、「今、買おうと思っていない理由が 言語化される」だけになり、成約への道は閉ざ されます。  ここで必要なことが、お客様に「新しい気づ き」を提供し、課題(解決すべきこと)を設定し ていただくというプロセスです。  ちなみに購買者1000名に調査したアン ケートでは、「営業を受ける際、営業担当者か らされる質問・会話の中で自社の問題や課題に 気づかされることはありますか?」という問い に対して、〈ほぼすべての商談で気づくことが ある〉が12・6%、〈まれに気づくことがある〉 が79・7%、〈気づくことはまったくない〉は 7・7%という結果になりました(拙著『お客様 が教えてくれた「されたい」営業』フォレスト出版より引 用)。  このことから、優秀な営業パーソンと出会い、 商談することができれば、営業との対話を通し て問題や課題が顕在化されることがあるという 証明になったわけですが、「まれに気づくこと がある」が約8割であることから、見方を変え れば、ほとんどの営業パーソンは気づかせるこ とができていないということでもあります。  では、そのような中、「どのような質問・会 話で気づくことがありましたか?(複数回答可)」 と尋ねたものを抜粋すると、 一他社(お客様のライバルや同業界)の事例を聞い  たとき……29・9%(競合情報) ■自社(お客様)の業界の動向について話をされ  たとき……28・9%(市場情報) ■自社(お客様)の現状の課題と原因を深掘りさ  れたとき……29・O%(自社情報)  という結果を示しました。  これはいわゆる3C分析(∩巨目夕91圧耳 n・目1)に関する情報ですが、お客様を主語に した3Cに関連する情報を営業が持っていると、 市場とのギャップ、競合とのギャップ、自社の 理想とのギャップが可視化され、課題に気づく という結果になるのです。  ここに書いてあることは、トップセールスの 方々は日ごろから取り組んでいたり、これまで の体験の中から一次情報としてストックしてい るので、そこまで時間をかけて準備をしなくて も高い仮説の精度を保ちます。  しかし、多くの営業担当者はどのように準備 をしていいかわからなかったり、1社の商談仮 説をしつかりやろうとすると5時間も10時間も かかってしまい、非常に効率が悪いということ が発生してしまいます。  もしあなたが、アカウント担当別の営業担当 であり、担当する顧客が10社しかないというシ チュエーションであれば、しつかり時間をかけ て分析すればよいかもしれません(それでも早い ほうがよいですが……)。  しかし、新規営業活動の中で、不特定の顧客 ターゲット層にアプローチをしたいというケー スであれば、一定の接触数も重要になるため、 商談準備時間は短ければ短いほどいいのです。  つまり、インテリジェントセールスプロセス におけるスマートな商談準備とは、「時間をか けすぎずに、質の高い仮説を用意する」という ことになります。  ここでポイントになるのが「生成AI」はこ うした3Cに関連する情報を調べたり、その情 報から仮説を導くのに効果的な働きを見せてく れるということです。  トップセールスが調査する視点を押さえて、 プロンプトに組み込んでしまえば、極論ですが、 新人や若手層もトップセールスと同じような観 点で、商談の準備を短時間で実現できるように なるのです。 (D)商談  商談においても、生成AIを活用して事前準 備を行うことで、個社ごとにパーソナライズさ れたトークやシナリオを展開することができる はずです。  セレブリックスでは度々、新規の法人営業で はお客様が「買わない理由をなくす」営業活動 を推進することが重要だと説いています。  新規営業では、セレブリックスがこれまで営 業代行をしてきた経験とデータで算出すると、 商談の82%(新規の法人営業かっ提案型の商品の場合、 商談案件化率が30%、案件化受注率が60%となる。この場 合の商談受注率は18%という数字になる。つまり受注にな らない確率が82%という結巣をつくる)が、そのタイ ミングでは買わないという選択をするお客様と なります。  その前提に立つと、母数の多いものに対策を 図るほうが有効といえます。  では商談の中で、お客様が「買わない理由」 をつくらないプロセスを推進するためにはどう すべきか。  その答えが、商談プロセスを7つに細分化し ([図3‐6]参照)、そのプロセスごとに買わない 理由をつくらないように先手を打って未然に防 ぐか、不安や反論が生まれた時に都度是正する ことによって商談を前進させます。  また、「買われなかった」というマーケティ ングデータを集めることで、セールスプロセス におけるターゲティングや訴求トーク、セール スツールを補完していくというのも大切な考え です。  この7つに細分化したセールスプロセスを 「コンサルティングセールスプロセス」と呼ん でいますが、こちらの詳細は拙著『Sales Is科 学的に「成果をコントロールする」営業術』で 解説をしていますので、興味があればぜひご一 読ください。  このセールスプロセスにおいて、生成AIを 有効活用し、お客様が「買わない理由」をなく すセールスプロセスを築きあげるのが、インテ リジェントセールスプロセスの役割です。  つまり、コンサルティングセールスを生成A Iやデジタルを活用してスマートに推進するこ とがインテリジェントセールスの本質といえる でしょう。  例えば、商談導入の挨拶やセットアップに当 たるアプローチ。  生成AIに面談者の情報をピックアップさせ たり、その情報をもとにアイスブレイクトーク を用意させてみるのはいかがでしょうか?  特定のWEBメディアを指定して「よく言葉 にする関心ごとをまとめて、アイスブレイク トークを考えて」と指示すれば、あなたの代わ りに調査と提案をしてくれます。  また、お客様の属性やビジネスモデル、そし て業界や想定ニーズへの仮説があれば、会社説 明の内容やトークスクリプト(台本)を、個社 ごとにアレンジできます。  もちろん、用意する事例やケースなども変わ るはずです。 (E)商談後  商談後の対応やフォローに対しても、インテ リジェントセールスプロセスではスマートな推 進が可能です。  まず効率面で大きくサポートしてくれるのが、 商談の議事録作成です。  議事録の作成には、4つのメリットがありま す。 一お客様に要点をまとめて送ることで、備忘録  やネクストアクションが明確になリスマート  である 一自分自身の備忘録となり、提案書作成や次回  の商談準備がスマートに立ち上がる ICRMやSFA等の顧客管理システム等に入  れる情報が整理され、スマートに入力が完了  する ■決められたルールの議事録ドキュメントがあ  れば、生成AIに学習させるデータとして使  いやすい  というものが挙げられます。  しかし、この議事録を作成するには慣れるま で整理・要約などに時間がかかります。  そこで、商談の録音データ等を文字起こしで きるツールやサービスとセットで利用できれば、 その対話記録を要約したり、プロンプトで要約 方法の指示を出せばsFA(Sales Force Automation :営業支援システム)に取り込むための 項目ごとに情報を整理してくれます。  オンライン商談が普及してからは「商談の記 録や企画作成のために録音をさせていただけま すか?」という許可が取りやすくなっだので推 進しやすくなったはずです。  また、その議事録内容をベースとして、各種 生成AIに指示をすれば、 Iフオローメールの文章作成 一社内関係者への共有議事録の作成や各種調整  依頼の作成 一提案書の雛形や骨子づくり 一初回訪問で聞けていない情報のピックアップ  と次の商談での確認事項のリストアップ ーネクストアクションとスケジュールを出させ  る(それを自身のスケジュールに入れる) ■WEBサイトなどの情報と組み合わせて、取  引顧客の与信情報の整理  といったことが実現可能です。  お客様としても、対話のリレーションがス ムーズになったり、コミュニケーションがタイ ムリーになれば体験としてスマートに感じるこ とでしょう。  ただし、「議事録を作成する」というプロセ スは営業担当者の基礎スキル向上にも貢献しま す。  知らない言葉を調べることで身につく知識、 お客様の言葉や状態を理解しようと努めること で、顧客解像度や自分の言葉で語れる、事例や シチュエーションも多くなります。  そして、理解力・要約力・言語化カーテーマ リテラシー(業界・ビジネス理解)を育む機会にな るのは間違いないので、必ずしも人が行うとい うことが効率悪かといえば、目的ありきだとい うことを忘れてはいけません。  用途に合わせた生成AIの活  用シチュエーション  前節までは、セールスプロセスに合わせた生 成AI活用方法やシーンに触れて、旧来型セー ルスプロセスとのF?3y才「を解説しました。  しかし生成AIを「こんな場面で利用でき る」というアイデアは、必ずしもセールスプロ セスや商談のフェーズ(段階)ごとで決められ たルールに則って使う必要はありません。  目的や用途、困りごとや行いたいことの「場 面」ごとに柔軟に使ってほしいのです。  そもそも習慣というのは、行動・思考の習慣 がパターン化されるのに、数十日〜数か月かか るといわれています。  今まで利用してこなかった生成AIが「習 慣」になるには、それ相応の期間使い続ける必 要があります。慣れるまでは「不便」と感じた としてもです。  これまで見てきた通り、生成AIの日常的な 普及率がH%から高まっていないのも習慣行動 にできておらず、通常の業務プロセスに取り入 れるのを断念しているから、という可能性も否 めません。  本書に触れたあなたには、ぜひとも営業活動 で生成AIを活用し成果を出すという先行者利 益を得ていただきたいですし、途中で断念して ほしくないと強く望みます。  そこで、生成AIの利用で恩恵を得やすいシ チュエーションやテーマを[図3‐10]を見な がら解説していきます。   「分析」で生成AIを活用す  る  営業活動における「分析」は、全体的な営業 戦略・戦術、もしくは個人や個社ごとの個別戦 略・戦術をひねりだす上で非常に重要なポイン 卜になります。  分析をせずに編み出した戦略や戦術が完全に 悪かといわれると、直感を大切にしなければい けないということもあると思いますが、ここで はそのような極論の話をするつもりはありませ ん。調査の上で分析されたデータをもとに意思 決定ができたほうがいいに決まっています。  既出の内容もありますが、分析における生成 AIの活用アイデアには次のようなものがあり ます。  〈営業組織で行う分析〉 ■受注した企業のデータを取り込み、成果要因  (決着案件の失注理由)に影響が大きいものを出  す ■営業活動のデータを読み込ませ、問題点や課  題を分析する(組織別/人別) ■営業活動のデータを読み込ませ、成果に差が  出やすいプロセスを分析させる ■商談の録画データ、録音データを読み込ませ  て、問題や課題を分析させる(フィードバック  する) ■営業戦略、戦術のアイデアを練る上での、3  C分析/PEST分析/SWOT分析/5  フォース分析  〈営業担当者個人が行う分析〉 ■白身の目標達成におけるセールスプロセスの  問題や課題を抽出する ■ターゲット属性の分析を行う(業界/産業/ト  レンド/法律・経済/エリア等) ■商談先を起点とした各種分析(3C分析/PE  ST分析/SWOT分析/5フォース分析)  一般的な分析と評価のアウトプットを要望す るだけであれば、読み取りやすいデータと条件 をプロンプトとセットにすることで、一定の結 果や情報に納得感を抱けるはずです。  しかし、注意しなければいけないのは、より 「自社」「自分」にフィットしたフィードバック やアドバイスを求めるためには、事前に学習さ せるデータや観点をプロンプトなどにセットす る必要があります。  例えば、営業担当者全員のセールスプロセス の課題を分析させ、適切なフィードバックを求 めるのだとすれば、あなたの会社でのベースと なるセールスプロセスの基準値を持っていなけ ればいけません。  コールコンタクト率が15%、コンタクトアポ 率が15%、商談案件化率が30%といったように、 できるだけ具体的な相場を持つことで、分析の 精度は高まります。  また、各プロセスにおいて、数字が低迷して いる場合はどんな要因が考えられるかというこ ともセットで生成AIに学習させておくことが できれば、より具体的なフィードバックを実現 できるでしょう。  そうした教師データ(学習させる情報)や観点 を[図3‐H]のようにプロンプトで設定した り、各種生成AIサービスの拡張機能などを利 用してデータセットをするイメージです。   「準備」で生成AIを活用す  る  営業活動における「準備」は、電話・メール や手紙、ダイレクトメール等の文書作成・商 談・提案といった、具体的なお客様とのコミュ ニケーションや営業活動で発生する行為のため、 イメージがしやすく身近に感じやすいのではな いでしょうか。  また、対象はお客様とのコミュニケーション だけに留まらず、会議の準備、社内交渉の準備 など様々な場面で登場します。  いずれにしても、「準備」の必要性が生じる 場面には理由も存在しているはずです。 巾成功確率を高める……準備があることで障  害を予測して対処ができる。先手を打てる の効率を高める……準備によって本番や作業  の流れがスムーズになる 月ゥ信を持つ、不安を取り除く……逆に言え  ば不安を取り除いたり、緊張を軽減する効果  がある 糾w習や成長に繋げる……準備過程で新たな  ことを学んだり、スキルを向上させることが  できる 級e響力を高める……説得力を持ち、周りの  サポートを得られる。支援者を募る準備がで  きる 居_軟性を持つ……万全の準備があってこそ  予期せぬ状況で柔軟な対応力を発揮できる  といったものが挙げられます。  「営業は準備が9割」といっても大袈裟になら ないくらいには営業活動において準備は重要で す。  インテリジェントセールスプロセスを実現す るためには、会社説明も事例の活用も質問内容 も提案や訴求トークもその企業(企業の導入推進 者)に対して個別化(パーソナライズド)されたコ ミュニケーションを取ることが重要です。  その個別化を実現する情報は「準備」によっ てこしらえることができるものなのです。  営業活動における準備としては次のようなこ とが挙げられます。  〈生成A−を活用した、営業担当者が行う  準備の一例〉  A)商談する企業の「あるある情報」「最    近の話題」を調査してトークシナリオ   を設計する B)商談する企業(アタックする)の業界や   ビジネスモデルの情報収集 C)商談する企業の導入事例把握 D)商談する企業のIR情報/採用情報/   リリース情報/記事など対外活動での   情報収集 E)商談する企業のライバルの情報収集   (IR/採用情報/リリース情報/記事) F)商談する企業の業界、産業のレポート   や論文を要約して情報をインプット G)A〜Fを踏まえた仮説の設定 H)A〜Gを踏まえた仮説に基づく質問リ   ストやトーク展開の想定 I)面談者の人となりや関心事がわかる、   採用インタビュー/取材記事などを要   約してインプット J)上記面談者情報をもとにアイスプレイ    クを目指したオープニングトークの設    計  K)A〜Jを踏まえた商談資料のアレン    ジ/提案書の作成/事例の準備  「準備」というテーマにおいては、A〜Kもそ の一部でしかありません。商談確度を高めるた めに、様々な準備の場面で生成AIは貢献して くれることでしょう。   「相談」で生成AIを活用す  る  生成AIを有効活用できているかどうかで差 がっくのは「相談」です。  私は、ビジネスを推進していく上で困ったこ とがあればすぐに生成AIに相談を投げかけま す。本書を書くにあたっても何度、生成AIに アイデアをちらつたか数えきれません。実際に 私か講演や営業支援の中で生成AIの利活用に 関して「相談」の使い方をご紹介すると、多く の方が驚かれます。  例えば、相談は次のような方法で使用します (わかりやすいようにプロンプトなどは用いない、会話  I 自分が「何がわからないのか」を     把握するために相談する  お客様先の業界や商品のことを、よく理解で きていない時にこの相談はよく行います。  またクイズ形式で出題してもらうことで、わ かった気になったことの防止や自分が答えられ ないところを重点的に学習できるのでおすすめ の活用方法です。  必ずしも、商談前に取り入れることだけでは なく、例えばターゲットの業界などが決まって いる場合などであれば、オンボーディング(初 期教育の于ほどき)のプログラムに取り入れるの もよいでしょう。  2 模擬商談の相手役・相談役になっ     てもらう  こちらも非常におすすめです。  いわゆる営業ロープレのお客様を生成AIに 担当してもらい、模擬商談におけるアドバイス やフィードバックをもらって、本番に臨むとい う活用方法です。  通常であれば、上司や先輩を相手に実施する のが一般的ですが、忙しい方になればなるほど 時間を確保しにくかったり、人によってフィー ドバックしてもらえる内容がバラバラになって しまうことがあります。  しかし、プロンプト等を用いて、フィード バックの観点などを押さえれば、非常に使い勝 手がいいのです。  次のページの[図3‐13]のような対話のラ リーを行うことで、反論対策や訴求内容として 不足な点がよくわかります。  なお、簡単なお客様役で実施すれば、FAQ (よくある質問)の応対練習にもなります。そして さらには[図3‐14]のように営業役とお客様 役を交換するのも有効な手です。  この役割逆転の素晴らしい点は、「お客様の 気持ちがわかること」と「新しい価値訴求のパ ターンに出合える」という点です。  私たちが考えている訴求トークや反論対策は、 「売り手思考」がどうしても人つてしまいます。 お客様の立場に立つことで、「独りよがりの自 己満提案」に気づくきっかけとなることでしよ  3 より多くのアイデアを出してもら     う  営業の場面では、様々なシーンでタイトルや 文章を考える必要が出てきます。タイトル作成 の代表的なシーンでいえば、 ■メールのタイトル ■イベント(セミナー、ウェビナー、交流会、勉強会)  のタイトル ■提案書のタイトル ■販促資料のタイトルやテーマ、キャッチコ  ピー ■電話、メール、手紙、販促資料、ダイレクト  メールのキャッチコピー  文章についても、上記タイトルが必要なもの と関連して概要やボディのメッセージや文章作 成が必要になります。これらを生成AIに相談 して、代わりに考えてもらったり、文章を作成 するためのキーワードを抽出してもらうのです。  ちなみにセレブリックスでは提案書のタイト ルを魅力的かつ効率的に考えるため、スライド 資料の非表示部分にタイトル作成用のプロンプ  これによって、人やセンスに頼り切らない提 案書作成の仕組みを整えています。  この考え方を応用すれば、提案書のタイトル だけでなく、お客様の顧客情報やデータごとに 合わせた、イベントの招待状を作れたり、関係 維持のためのフォロー連絡の文章を考えること ができます。  今回挙げた「相談」の用途は一例にすぎませ んが、このような活用方法を知ることができれ ば、あなたの課題に合わせた様々なアレンジが 思いつくのではないでしょうか。   「整理」で生成AIを活用す  る  ここからは、情報を整理する、要約する、整 えるといったシチュエーションでの活用方法を 紹介します。おそらく、多くの方が生成AIの 中でも想像しやすい使い方になるのだと思いま すが、この整理も非常に奥深い利活用のアレン ジがあります。  オーソドックスなものからスパイスをI振り 加えたものまで、いくつかそのアイデアをご紹 介していきます。 ●商談/会議内容の議事録を作成させる  本書でも度々出ている使い方なので、詳細は 割愛します。商談(会議)の録音データを文字 起こしできるサービスや、アプリケーションと セットで活用します。最近では、無料で文字起 こしできるスマホアプリなども充実してきてい ます。 ●議事内容を項目ごとに整理しアウトプットさ  せる  データセットや条件設定によって、議事録の 内容を理想の形式で出力させることが可能です。 これによって、CRMやSFAの入力項目に合 わせた整理をさせることができれば、顧客管理 システムに入力する工程はズバ抜けて質が高ま るはずです。これを開発した人は、その会社で ヒーローになれます。 ●議事録や商談データ、その他の情報を与えた  上でタスクを洗い出す  与えた情報や条件から、自身が取り組むネク ストアクションやタスクを洗い出させます。 ●契約書の内容を自分の言葉で理解し納得する  難しい言葉で書かれたお客様と結ぶ各種契約 書や覚書を、「中学生でもわかるような言葉や 言い回し」でアウトプットさせなおします。 ●翻訳し正しく理解する  英語や日本語以外の言葉を翻訳して、正しい 理解と把握を行います。 ●RFP(提案依頼書)を代わりにつくる  RFPとはRequest for Proposalの略で、「提 案依頼書」のことです。  大手企業等からの提案依頼があり、複数企業 とのコンペがある場合は、このRFPの条件を 踏まえて提案を作成するというのが一般的です。 これが、新規のアウトバウンド営業になれば、 お客様は購買検討に入っていないので、このR FPというものがありません。  そこで営業担当者が質問、傾聴、啓蒙、示唆 などを与えることで、お客様に認めてもらえた 課題設定を整理し、お客様のRFPを代わりに 整理する役割を担うのです。  それがお客様、つまりは導入推進者が社内営 業で利用するキラーコンテンツになっていくの です。  以上、このセクションでは、生成AI活用の シチュエーションについて解説しました。  生成A−に質問してはみたものの、「欲 しい答えが違うんだよな。自分で考えたほ うが早いかも……」そう思って画面を閉じ てしまった経験はないでしょうか?  実はプ囗ンプト(A−への指示文)を入 手・活用しても、多くの人が生成A−系の サービスの利用につまずきます。  それは一問一答形式でやり取りを終えて しまうことや、どんな追加質問をすれば欲 しい回答に着地できるのかというイメージ ができないことが原因です。それは、「最 初のプ囗ンプト〜欲しい回答にたどり着 く」という一連の流れや、解説が多く出 回っていないことが一つの要因であると考 えています。  生成A−の活用は、単に1回のやり取り や一問一答で終わるものではありません。  A−とは会話の「ラリー」、つまり継続 的なやり取りを行うことが非常に重要です。  本章で解説する、「14種類のツボを押さ えて、欲しい情報を引き出す」と「ラリー の応酬で生成A−と脳内を同期させよう」 が、生成A−活用のエンジンになれたら幸 いです。  生成AIの回答を理想に近づ  けるためには「ツボ」がある  生成AIにもそれぞれの特徴があり、その バージョンによっても精度は異なるものの、理 想とする回答に近づけるアプローチや手法とい うものは大きく変わりません。  もっと言ってしまえば、相手に自分が伝えた いことを「正しく理解してもらう」ということ の本質は、人でも生成AIでもさして変わらな いと私は考えます。  このセクションでは、初心者から生成AIを 日常的に利活用するまでの基本となる「ツボ」 を14種類に分けて解説していきます。 それでは、1つずつ詳しく見ていきましよう。 〈初心者編〉  關屆−具体的な情報や指        示を与える  抽象的ではなく詳細な回答が欲しいときは、 生成AIに具体的な情報や指示を与えます。し かし、1行程度の簡単な質問だと、どうしても 表層的でフワッとした文章で返ってくることが 多いです。  生成AIに出す指示が細かいほど、具体的な 返答が得られる可能性が高まります。  具体的な指示のイメージは、以下の例をご覧 ください。 プ囗ンプト例@一回答の量をリクエストする ■○○について「簡単に説明してください/詳  しく説明してください」 ■商談のコツを箇条書きで5つ挙げてください  (【図4‐1】参照) ■SDRとBDRの違いについて、200字前  後で教えてください プ囗ンプト例A一手順やステップを教えて欲 しいときはリクエストする ■業界分析方法について5つのステップに分け  て教えてください ■資料作成の手順を教えてください プ囗ンプト例B一具体例を伝える ■中学生でもわかるように教えてください ■その業界について知らない人でもわかるよう  に教えてください  質問する際のポイントとしては、簡潔な質問 を心掛けることです。一度に複数の質問を与え すぎると、回答精度が落ちる可能性があります。  また、プロンプトで使用している用語(IT やマーヶティング用語など)を実は意味を間違って 覚えていたとか一般的ではなかった、そもそも 社内用語だった……といったケースで、わかり やすい指示を与えられていないというパターン もあります。そうした場合は、一度検索し、認 識している意味と合っているか、正確な表記か どうかを確認しましよう。   躙膈Iどんなアウトプツ        卜の形式がいいの        かを明確にする  生成AIに特定のタスクを依頼する際に、ど のようなかたちで情報を受け取りたいかを明確 にしましよう。その際に、生成AIに回答形式 を指定しておくと楽です。状況に合わせて適切 な出力形式を指定してみてください。 指定例一 箇条書き/文章形式/表形式/Q&A形式/ダ イア囗グ形式/要約形式/スクリプトーシナリ オ形式/チェックリスト/フローチャートや概 念図/比較表/タイムライン/メールー手紙形 式/ストーリー・物語形式/レビュー/評価  試しに「インサイドセールスとフィールド セールスの業務の違いを表形式で教えてくださ い」と指示してみてください。次のページのよ うな回答が得られると思います(図4‐2)。  闢屆I「主語」を細かく       定義する  生成AIに営業に関する質問をする場合、 「営業の……」と入力すると、B10C営業と解 釈して回答されることが多くあります。B10B とB圃Cはターゲットの行動フローや営業手法 などが大きく異なりますので、もしB圃B営業 の内容でアウトプットして欲しい場合は、プロ ンプトに「B圃B営業の……」と明示するよう にしましよう。  以下は「営業」で伝えた場合の回答と、「B 圃B営業」で伝えた場合の回答です。 プ囗ンプト例@一「営業」のみで質問した場合 (図4‐3) ■私は日本で営業をしているのですが、重要な  点を教えてください プ囗ンプト例A一「B10B営業」で質問した場 合(図4‐4) ■私は日本でBMB営業をしているのですが、  重要な点を教えてください  闢屆I目的やゴールを       しっかり明文化す       る  生成AIに質問をする時、質問の目的やゴー ルを設定していますか冫・そして言葉で伝えら れるようにしていますか?  「その質問をして何をどうしたいの?」がわか らないと、生成A−もいい回答を出すことがで きません。  生成AIに質問を投げかけると同時に、自身 に質問の意図と目的は何か自問自答をすること で、常に目的意識を持ついい練習にもなります。 そして目的さえ伝えることができれば、自分が 出せていない手法や発想までリードして提示し てくれます。  以下で試してみましよう。プロンプトは「B いB営業チームが新しいクライアントを効果的 に開拓する方法を教えてください」と質問事項 はそのままに、「目的」を入れた場合と入れな かった場合での変化に目を向けていきましよう。 プ囗ンプト例一 ■BMB営業チームが新しいクライアントを効  果的に開拓する方法を教えてください (図4‐5) 要望11B撃a営業に関するアドバイスを提供 してください 阻止条件11具体例を省略して10項目を提供す ること (図4‐6) 目的11B眄B営業チームが新しいクライアン    トを効果的に開拓するための戦略を提供    する 要望11最新の市場動向を分析し、ターゲット    顧客の特定、アプローチ方法、関係構築    の戦略を提案してください 交渉条件11明確で実践的なアドバイスを10項 目提供すること。業界用語を避け、 簡潔にまとめること 闢屆I「不足している情     報があったら教え     て」と初めから示     唆しておく  生成AIでメール文の校閲やタスクの洗い出 しを依頼する時、最初から「不足している情報 があったら教えて欲しい」と一文を添えておく と不足点もセットで教えてくれます。また、4 のツボと組み合わせて「目的達成のために不足 している部分があったら教えて」と伝えるのも おすすめです。 プ囗ンプト例一 ■これから新システムの社内定着に向けて実施  するべきことを考えていきたいです。どんな  ことを注意するべきかアドバイスをお願いし  ます。目的は、適切な業務の進め方を実行す  ることによって迅速かつ精度の高い新システ  ムの社内定着を実現することです。目的を達  成するための情報が足りない場合は、不足し  ている情報を質問してください −Sl生成AIの情報は      「開発国優位」を意      識する 対話型の生成AIのサービスは、何も指示を しないと『英語圈の情報』を前提とした回答が 返ってくることがあります。そのため、質問す る際には「日本の○○です」と伝えるのがおす すめです。  特に生成AIサービスのバージョンが最新で ないもの(ChatGPT-3.5など)は伝えたほうが正確 性が増します。 プ囗ンプト例一 ■私は電子決済サービスの営業を担当していま  す。日本の九州エリアの小売店事業者様に営  業活動を行う上で最低限知っておくべき、知  らないと失礼にあたる知識を教えてください 〈脱初心者 初級1中級に向けて〉  關屆−一つでも「いい回       答」があればそれ       を採用して再度出       しなおさせる  生成AIからアイデアをもらう際には、一問 一答で終わらせるよりも、回答からいいアイデ アを一つでも抽出して、さらに広げていくのが おすすめです。 プ囗ンプト例一(図4‐7) ■営業系のウェビナーイベントのタイトル候補  を10個挙げてください 例一生成A−から「a。b。c。djと回答が来て、 aの回答だけ筋がよかったら…… ■aが素晴らしいです。aのようなものをもっ  と出してください  このような返答をすることで、精度が上かつ ていきます。 @最初にアイデアをたくさん出してもらう F回答からいいものを抽出し、質をフィード  バックする B質のいい回答からまた量を増やす  このような流れで生成AIとやリ取りを重ね て、アイデアの質をどんどん上げていきましよ  闢屆―情報をクロスして       生成AIに考えさ       せる  PEST分析や3C分析など、ターゲットの 情報分析を時短できたらとてもありかたいです よね。こういった分析も生成AIに考えさせる ことができます。そしてただ分析させるだけで はなく、情報をクロスして生成A−に考えさせ ることでさらにヒントが得られます。以下の例 をご覧ください。 プ囗ンプト例: (図4‐8) ■@製造業界のPEST分析をしてください ■A分析して出した事実情報をもとに「製造業   界の製造ライン責任者」の立場で、それら   の外部環境をどのように捉えているか出し   てください ■Bその上で「製造業界の製造ライン責任者」   が悩んでいることを優先度順に箇条書きで   出してください 闢屆−「誰を演じさせる      か」「どんな振る舞      いをさせるか」が      重要  生成AIにどんな役回りを演じさせるのか、 振る舞いをさせるのかによって、回答の内容は 異なってきますし、理解しやすい表現などを取 捨選択してくれます。「あなたはプロの営業で す」のように生成AIに役割を与えると良いと いわれています。しかし、役割を与えるという のはこれだけではありません。  例えば、「あなたは反対の立場で批判的な意 見を出してください」と、あえて反対意見を出 してもらうように指示するのもおすすめです。 プ囗ンプト例一(図4‐9) ■私は今、営業の業務の中で成果が出ずにつま  ずいています。人望のある上司の立場で励ま  してください 闢屆I「違うな」と思っ      たら、「どんな指示      をすればいいか」      を考えさせる  生成AIの回答が「ちよつと違うな……」と 感じたら、次にどんな指示をすればいいかを生 成AIに聞くというのも有効です。  これを実践するには、質問の目的や意図、自 分の求める回答のイメージを事前に言語化して おく必要があります。  どうすれば欲しい回答をもらえるか、そのた めにどんな情報や指定があるといいのかを伝え ることで、生成AIに考えさせるのです。 プ囗ンプト例一(図4‐10) ■営業の特徴を箇条書きで5つ挙げてください 追加の要望一 ■ありがとうございます。それぞれの特徴をも  とに、新人向け資料の文言として落としたい  です。このままだと文献感があり、もう少し  平易な表現かつ実践的なものに置き換えて内  容をリッチにしたいのですが、どんな追加指  示をするべきでしょうか? 他の推奨方法例一 ■あなたは決裁者の立場です。検討における重  要なポイントを教えてください ■あなたは製造業界の製造ライン責任者です。  日常における時間の使い方や悩み事を教えて  ください ■なんでも否定的なものの見方をする購買者に なって、私の提案に反論を出してください 〈生成A−活用のマインド編〉  躙膈闥一一問一答ではなく、      「ラリー」でたどり      着く意識を持つ 生成AIをうまく活用できていない人の「あ るある状態」として最も多いのが、プロンプト による質問を1回入力しただけで、最高の回答 を得られると求めすぎているというパターンで す。  気持ちはわかりますが、それは大変もつたい ないことです。  人との意思疎通でも同じことが起こるはずで す。あなたの考えを部下や同僚、上司に多くを 言わなくてもわかってもらえるようにするため には、相応の会話のラリーがあるはずです。プ ロンプトもフィードバックすればするほど、ア ウトプットの質は高まります。  ただし、ラリーを繰り返して教育した内容は、 スレッドが変わってしまうと生成AIとコミュ ニケーションを取る前に近い状態にリセットさ れてしまうので注意が必要です。  そこで私かおすすめしているのは、ラリーの 中でよく使う考え方や情報に名称をつけて名前 と構造を生成A−に覚えさせられるようにして おくことです。  例えば、売上を上げる要素のロジックツリー をテキストを用いて生成AIに応えさせていた とします。これを、  今出してもらった売上を上げる構造の囗  ジックツリーを「売上構造囗ジックツ リー」と名前をつけます。 今後、この名称を記載したらいつでも呼び 出したり、参照できるようにしてください。 また、他のスレッドでも使う可能性がある ので、この構造を別スレッドにコピーして すぐに取り出せるように、テキストで出力 してください。  といった形で、「売上構造ロジックツリー」 をスレッド内や、他のスレッドに貼り付けて、   「製造業」における売上を上げるための囗  ジックツリーをつくりたいです。  次の「売上構造囗ジックツリー」を参照に、  製造業特有の業界の情報も加えてロジック  ツリーを作り出してください。  といった指示を出し、条件欄に「売上構造口 ジックツリー」のテキストをペーストして活用 します。  このように一度深めたラリーを、そこで終わ らせないようにするという工夫も大切です。  躙膈I`‐時間がかかる作業       を時短してもらう       意識で「今のとこ       ろ」は使う  生成AIは素晴らしい可能性を秘めているも のの、現段階で過度な期待をしてしまうと ギャップがあります。悪いところを見つけよう と思えばキリがありません。そこで今は、自分 もできないことを実行してもらうのではなく、 自分でもできるけど「時間が掛かる作業を時短 してもらう」という意識を持って使うことをお すすめします。AIの技術進化は日々著しいも のの、完全自動化にはまだ及びません。そのた め、現段階では「半自動化」の要領で使うほう が使い勝手がいいといえるでしょう。  闢屆翻m一まずは「生成AI       で遊んでみる」こ       とから始める  生成AIは正直、すぐに使いこなせるように なるツールではありません。様々な指示をチヤ レンジし続けた人が傾向や要領を掴み、業務の 時短に繋げています。ここまでいろいろなコツ を書いてきましたが、まずは慣れる、1行や短 文でもいいので使うことを習慣にすることが重 要です。理想の回答を導き出そうとすると挫折 しやすいので、気軽に悩み相談やメールの校閲 などから試してみるのがおすすめです。会食先、 旅先の相談などから始めてみるのはいかがで しょうか? 〈補足編〉  躙膈闥一一生成AIの「#」       は「項目の粒度」       を指しているもの 生成AIを利用する時に、「#」を使ってい るプロンプトを見て「どういう意味だろう?」 と思ったことはありませんか? 生成AIの利 用においては、マークダウン記法(特にIT業界 や技術職でメジャーな情報を表記するルール)がよく採 用されています。  「#」はマークダウン記法において見出しの階 層を意味します。ただ文章を書いて伝えるより も「#」や「*」を用いたマークダウン記法を 使って指示を出すほうがAI側も利用者の意図 を理解しやすく、回答の精度もアップします。  「#」=項目の見出し として使うことが  できます。  #11大項目 「部」  ##11中項目 「章」  ###11小項目「節」   「生成AIが有効な回答をし  ない」とあきらめるその前に  前セクションでも触れたように、生成AIを 日常の仕事にうまく取り入れている人とそうで ない人の差に、「1回のやり取りですべてを完 結させようとしていない」というスタンスが挙 げられます。言い換えれば、生成AIの特性を 理解した上で、過度な期待を寄せないというこ とでもあります。  世の中に出回っている生成A−の活用i ips や衝撃のシーンは、いわば最高峰の「切り取 り」です。AIの支援やAIサービスを提供す る事業者が、日夜それに没頭することができて、 その切り取りをイベントやSNSで披露してい るわけですから、あなたの生成AIの回答や出 力と違いが出てしまうのは仕方がありません。  例えば、あなたの身近に存在する「検索」と いう行為に置き換えて想像してみませんか?  まず、同じ「検索」という行為でも、リテラ シーや経験、想像力によって検索の精度とス ピードには大きな開きが出るはずです。どのよ うな言葉を打ち込めば、理想とするWEBサイ 卜にたどり着けるか、その精度に差が発生する はずです。  その上で求めた回答にたどり着けなかった時 にどのような行動を取りますか?  おそらくあなたは、検索ワードを変更したり、 追加するなどして再度チャレンジするのではな いでしょうか?  生成AIも同じです。ところが生成AIは、 まだ日常的に業務プロセスに組み込まれていな かったり、習慣化していないことが多いため、 一度の回答で満足がいかなかった時に、使用者 があきらめてしまうケースが多いのです。  生成AIを一問一答のマシーンとして利用す るのはなく、思考を深める、アイデアを広げる 検索の上位概念と捉えて活用していくといいで しょう。  さて、このセクションでは生成AIとラリー の応酬、つまり今回のヶIスでいえば「対話の やり取り」を通して、理想の回答に近づけるた めに、[図4‐H]を活用しながら、構造的に 生成AIとの対話の掘り下げ方を理解していき ましよう。  I 初期プロンプト  まずは、簡単なものやプロンプトのテンプレ を用いてAIとの対話を開始しましよう。次の 3つを指定するだけでも回答精度が向上します。  一指示(何をして欲しいのか)  一役割(あなたはOOとして振る舞ってください)  ■アウトプット形式(箇条書き、表形式など)  2 1回目のA−回答パターン  AIの回答を、大きく5つのタイプに分類し ました。網羅している、というよりは頻出のも のを選定し分類分けしています。 (A)情報提供型 (B)意見助言型 (C)解決策提案型 (D)比較分析型 (E)経験共有型  では、この5つも順に見ていきましよう。 (A)情報提供型 様々な手段やリソースを用いた情報提供型で の回答です。 /情報提供型の回答を引き出す質問例  「○○を教えてください」「○○を説明・解説 してください」 ・僵A−の回答例   「最新の研究によると、この分野での主要 な発見は次の通りです……」  「過去に同様の事例があり、その時は以下 のような結果が出ました……」  「現在の市場動向は次のように分析されて います……」  「この問題は、特定の文化的・社会的背景 を考慮すると、次のような理解が得られま す…」 (B)意見助言型  特定の観点や立場、情報リソースに基づいた 意見やアドバイスをする形での回答です。 /意見助言型の回答を引き出す質問例  「あなたはプ囗の営業コンサルタントです。 一一の状況における最適解を教えてください」 ・優A−の回答例   「この問題に対する最適なアプ囗−チは次  の通りです」   「この状況においては、次のステップを踏  むことをおすすめします」   「法的な観点からは、次のような対処が求  められます……」 (C)解決策提案型  具体的な解決策の実行について提示する形で の回答です。「助言型の回答」に対して、「具体 的に教えてください」と指示するなど、具体策 を求めた際に多く見受けられます。 /解決策提案型の回答を引き出す質問例  「この状況を改善するためにどんな手段が考え られますか?」  「この問題を解決するために何を提案します か?」 ・優A−の回答例   「この問題に対する実用的な解決策として  は、以下のアプ囗−チを提案します……」   「創造的な解決策として、次のような新し  いアイデアが考えられます……」 (D)比較分析型  物事の比較や事象の分類について提示する形 での回答です。 /比較分析型の回答を引き出す質問例  「AとBを比較した場合、どちらが優れていま すか?」  「この二つの事業戦略の間にどのような根本的 な違いがありますか?」 ・四A−の回答例   「オプションAとBを比較すると、Aはこ  の点で優れていますが、Bは別の利点があ  ります……」   「もしAが真実なら、次のような推論が成  り立ちます……」 (E)経験共有型  特定の見解を提示する形での回答です。 /経験共有型の回答を引き出す質問例  「あなたは△△業界の○○です。その立場でこ の質問に対する回答をお願いします」  「過去の類似ヶ−スから何を学べますか?」 ・優A−の回答例   「△△業界の○○としての立場から見る  と、〜で」   「過去にこの業界で起きた類似の変化を見  ると、次のような教訓が得られます」 2度目のプロンプト(追加質 問) 〜A−の回答パターンからラリーを深める〜 この時点で、あなたと生成AIは一度以上の やり取りをしている状態です。1度目の質問に 対する回答で、期待値を満たすことはレアケー スです。一度返ってきた内容に対しての追加指 示や質問を通じて、目的達成を目指します。  生成AIへの質問によって、理想の回答を得 る際に用いるのは、「商談においてお客様のお 困りごとや理想を伺い、課題を設定する」プロ セスに似ています。  セレブリックスではお客様の客観的事実を把 握し、課題を設定するプロセスのことを「ファ クトファインディング」と呼んでおり、セール スプロセスの中でも最重要プロセスと位置付け ています。  このフアクトフアインディングにより、お客 様の顕在的な問題意識やニーズから潜在意識に アプローチする際に活用する「拡散」「深掘り」 「収束」という3つの技法があります。 一拡散一話題を拡げる(拡散質問) 一深掘り一話を掘り下げる(深掘り質問) 一収束一情報を取りまとめる(収束質問)  このプロセスをイラストで表現するなら[図 4‐12]のようになります。  拡散とは話題を拡げることですから、話を横 に展開していくイメージです。  深掘りは、特定の話を深く掘り下げるタテの 関係性にあります。  そして、掘り下げた情報群を取りまとめたり、 因果関係や相関関係を持たせるなどして整理し ていくプロセスが収束となります。  この「深掘り」「拡散」「収束」を生成AIが 出した一次回答に対して、話題を拡げていき掘 り下げるべき項目の特定を行ったり(拡散)、対 象の情報の内容を濃く仕入れたり(深掘り)、集 まった情報を整理させる(収束)を行っていく とよいでしょう。  話題を拡げる「拡散質問」の  6つのパターン  広範な情報や視点を集め、多様な選択肢やア イデアを探るための質問です。いくつかのサン プルパターンをご紹介します。 ●情報拡張パターン‥多角的視点で幅広い情  報を収集し、理解を深める質問  /質問例    「他にどんな見解がありますか?」    「このトピックの異なる側面は何です   か?」    「さらに関連する情報はありますか?」 ●経験比較パターン‥異なる経験を比較し洞  察を得るための質問  /質問例    「似た状況で他にどんな結果がありました   か?」    「異なる文脈での成功事例はあります   か?」    「他の企業はこの問題をどう解決しました   か?」 ●創造性探求パターン‥新たなアイデアや方  法を探るための質問  /質問例    「この問題に対してまだ誰も思いついてな   いアプ囗−チは何ですか?」    「異なる業界で見られるユニークな解決策   は?」 ●比較要求パターン‥他オプションとの比較  や評価をするための質問  /質問例    「オプションAとBのメリットとデメリッ   トは何ですか?」    「この二つの方法を比べるとしたら、どの   ように比較できますか?」 ●経済的・市場探求パターン‥市場動向や経  済的影響を探るための質問  /質問例    「現在の市場トレントはどう影響していま   すか?」    「経済的な観点から、この戦略の利点は何   ですか?」 ●文化的・社会的洞察要求パターン‥文化・  社会的背景の理解を深めるための質問  /質問例    「この問題は文化的にどのように受け止め   られていますか?」    「社会的な観点から、どのような影響が考   えられますか?」  拡散質問の利用タイミングによって期待でき る効果は変わります。  質問の前半や初期段階においては、アイデア 出しや観点出しなど会話の起点として役立ちま す。対話を進めた後半では、発想の転換や「他 の観点がないか?」など、考えるべき事項の抜 け漏れ確認に役立ちます。  話を掘り下げる「深掘り質  問」の4つのパターン  一度目の生成AIの回答に対する情報やアイ デアについてさらに深く掘り下げ、詳細や理解 を深めるための質問です。こちらもいくつかの サンプルパターンをご紹介します。 ●意見深掘リパターン‥A−の回答した意見  や見解、その根拠を探るための質問  /質問例    「その意見に至った理由は何ですか?」    「その見解に影響を与えた要因は何です   か?」    「あなたの意見を支持する証拠はあります   か?」 ●歴史的洞察パターン‥過去の事例からの教  訓を探るための質問  /質問例    「過去にこのような状況があった場合の対   応は?」    「同様の事例での教訓は何ですか?」 ●推論探求パターン‥推論や結論の根拠を明  らかにするための質問  /質問例    「その結論に至った論理的な過程は何です   か?」    「その推論を支持する根拠は何ですか?」    「この仮説はどのように検証されています   か?」 ●法的/規範的探求パターン‥法規範に基づ  く指導や解釈を求めるための質問  /質問例    「この法的な問題における標準的な対応は   何ですか?」    「規範的な見解では、どのような対処が推   奨されますか?」  深掘り質問の利用タイミングによって期待で きる効果は変わります。  質問の前半や初期段階においては、早期に対 話テーマを絞ることが可能になり、対話終了ま での時間短縮に役立ちます。仮説を確かめたり、 仮説の根拠を裏付ける情報を集める際には有効 です。対話を進めた後半では、前半までの対話 内容をさらに掘り下げ、情報を階層で整理する など情報の取りまとめに役立ちます。  情報を取りまとめる「収束質  問」の2つのパターン  対話を特定の結論や解決策に向けて導くため の質問です。質問ではないですが、具体的な指 示を行う場合もこちらで包括します。 ●事象具体化パターン‥アドバイスや情報を  具体的にどう適用するかを確認する質問  /質問例    「このアドバイスを具体的な行動計画にど   う落とし込めますか?」    「これまでの相談内容を踏まえ、結論を出   してください」    「提案されたアイデアを実現するステップ を教えてください」  「ここまでの内容を優先順に並び替え、ア クションプランとして整理してください」  「この理論を実務に応用する方法は何かあ りますか?」  「ここまで挙げていただいた内容を優先順 に並び替え、アクションプランとして整理 してください」  「この解決策を効果的に実施するためのヒ   ントはありますか?」 ●取りまとめパターン‥A−とのやり取りを  整理するための質問  /質問例    「ここまでのやり取りを要約してくださ   い」    「最新の情報を”まとめA”として記録し   保管してください。私の指示で取り出せる   ようにしてください」    「ここまでのやり取りを他者に説明するこ   とを想定して、説明文を生成してくださ   い」  収束質問の利用タイミングによって期待でき る効果は変わります。質問の前半や初期段階に おいては、情報の定義付けや仮決定を進めるの に有効です。早い段階で言葉や情報を定義付け することは、その後のやり取りや生成AIに情 報を創造させる上で役に立ちます。  対話を進めた後半では、それまでの流れを踏 まえた結論を出させるのに役立ちます。  この時点で、得たい回答を取得できている場 合は利用を終了しましよう。  また、対話を継続する場合は求めている回答 まで@〜Bを繰り返しましよう。 @他の視点を問うなど、話題を広げる A拡げた話題の中から特定の点を掘り下げる B情報を具体的にまとめる・要約させる  様々な質問方法や回答スタイルを理解し、A Iとの対話を通じて目指す回答にたどり着くよ うにしましよう。  拡散・深掘り・収束と生成A  Iの回答パターンの組み合わ  せ  最後に、3つのAIへの質問と5つのAIの 回答パターンと掛け合わせた図を掲載します ([図4‐13]参照)。様々な質問方法や回答スタイ ルを理解し、AIとの対話を通じて目指す回答 にたどり着くようにしましよう。 「リーダー」が本気にならないと「インテ リジェントセールス」は普遍化しません。  営業担当者が趣味の延長で生成A−を利 用しだしても、組織の理解や支援がなけれ ばその効果や有効性は半減します。  独学での取り組みや一人で実証実験を繰 り返すだけでは、生成A−を活用したセー ルスプロセスの改善や、ケーススタディが ストックされる頻度と深度も組織的に取り 組むケースと比べてスピードが鈍化するこ とでしょう。  「インテリジェントセールス」をあなたの 会社のスタンダードとして根付かせ、皆が 有効活用するためにはリーダーの「セール スプロセスを変革する」という強い意志と 決断、そして生成A−への理解が必要です。  あなたが組織長や管理職なのであれば、 インテリジェントセールススピリットとイ ンテリジェントセールスプロセスを学び、 セールスプロセスの変革を指揮していきま しょう。リーダーシップを図る機会は 「今」、まさにその時です。  あなたが管理職でなかったとしてもでき ることはあります。まずはあなた自身が 「成功事例」としてロールモデルとなるこ とです。  生成A−のパフォーマンスやインテリ ジェントセールスの有効性を証明し、「真 似をしたい」「やり方を教えてほしい」と いう同志を募るのです。インテリジェント セールスプロセス構築を志すチーム構成員 によって、ムーブメントを巻き起こすこと ができれば、社内に多くのA−パフォー マーが生み出されることでしょう。社内に 同志をつくりA−パフォーマーのムーブメ ントを起こしましょう。  生成A−の利点やリスクを踏まえて、実 証実験の結果を踏まえた、「正しい提言」 が必要です。そうしたムーブメントやモメ ンタム(勢いや弾みをつける)を引き起こすた めにも、生成A−の利点だけではなく、リ スクや苦手領域も知ったうえで生成A−と 向き合いましょう。  リーダーの役割は、生成A−を活用した インテリジェントセールスの実証実験を繰 り返し、「正しい提言」をもって組織を導 くことが求められます。  リーダーシップは誰にでも発揮すること が許される精神です。  本書を読む「あなた」のリーダーシップ に火を灯すメッセージを、この章に書き起 こしました。   「AI脳」を持たないマネー  ジャーは役立たず7・  べAI脳」を持だないマネージャーは役立た ず″。このメッセージは強烈でしょうか冫・  言葉は強いものの、私はウソだとは思つてい ません。  少なくとも生成AIを取り入れたセールスプ ロセスを作ろうとする組織において、マネー ジャーやミドル層が生成A−を「他人事」だと 捉えているのであればそれは大問題です。  しかも厄介なことに、「生成AIの力なんて 借りなくてもうまくやってこられた」という生 存者バイアスの強い人に限ってこうした傾向が 生まれます。  自分の知らないこと、経験のないことに対す る理解をあきらめ、自身の成功体験や知識を押 し付けて周りの活躍を妨げる行為があれば、そ れはもう「思想の老害化」かもしれません。  ビジネスで危険視すべき老害と表現される現 象は、年齢でやってくるのではなく、新しいこ とや変化への対応や姿勢によって生まれるもの であり、年齢が若いマネージャーであっても思 想が老害化していくという恐れは潜んでいます。  また、生成AIの必要性に理解を示しながら も、「新しいことは若い者に任せればいい」と いう、権限委譲。風”のコーチングもどきの判 断の場面を目にしたことはありませんか? も しくは自分の胸に手をあてて、少しドキッとし たらこの段階で本書に触れられたことが「ター ニングポイント」になるかもしれません。  私としては、マネージャーや管理職こそ「A −脳」を持とうということを強く主張します。 「AI脳」は比喩表現ですので、正確には「A Iを活用、またはAIの出力や対応に処理でき る知識や体験を持っておこう」という提言です。  この考えは、多くの営業組織の実態に対する 問題提起から生まれました。  それは、AIやデジタルの活用といった新し い取り組みは若い人たちに任せて、自分たちが そこを探究する必要はないと判断している管理 職が多いということです。  自分が生成AIを学ばない理由に、「強みを 活かす、やらないことを決める、新しいことに チャレンジさせる」ということは、権限委譲の ように見えて聞こえはいいですが、マネー ジャーが生成AI活用の本質を捉えられていな ければ、長い目で見てその組織は健全に動きま せん。  もしくは、マネジメントが機能しなくなる可 能性があります。その場合、ヒト(人)がマ ネージヤーとして高い給料をもらってそこに存 在する意味はあるのでしょうか?  常に会社の中で一番生成AIの情報を知って いる人である必要はありませんが、生成AIに おけるメリットやデメリット、リスクについて 判断できる基礎知識や体験情報は備えておくべ きなのです。   「マネージャーより生成AI  を信頼する」状態は危険  信頼とは文字通り「信じて頼る」ことです。 拙著『Sales is科学的に「成果をコントロール する」営業術』でも触れていますが、信用と信 頼は似ているようで異なります。  信用とは「過去の実績や事実」に対して行う もので、信頼とは信用を源泉にして「この人に 頼つてみよう」と未来に対して行うものです。 つまり、信用には実態があり、信頼は精神的な ものです。  生成AIを日常的に利用する組織において、 マネジメントサイドに生成AIの理解や知見が ないと、営業担当者から信頼されないリスクを 生み出すということになります。  インテリジェントセールスプロセスの標準化 に取り組んだり、AIパフォーマー育成を積極 化しようとすれば、営業担当者が「事前に生成 AIである程度は調べた」上で、上司やマネー ジャーに相談したり、報告などのアウトプット をする機会が増えるでしょう。  その際に、マネージャーがメンバーに対して 指導したり、フィードバックを行う際に営業担 当者の脳内では「AIと言ってることが違う なあ」とか「AIで調べた結果は××だったけ ど」という、声には出さないが、マネージャー の決断や判断を疑われるケースも発生していく 可能性があります。  こうしたケースでは、マネージャーは自分の 成功体験だけが「指導、フィードバック、アド バイス」ではなくなると理解する必要がありま す。メンバーへの説明に対して論理性がないと、 納得されないのです。  最も恐ろしいことは、「マネージャーに相談 しても感覚的だから、生成A−に相談すればい い」となってしまうことです。この状態では、 マネジメントが利いているとはいえません。  このように、生成A1時代だからこそAIの 出力について討議し、コーチングする発想がマ ネージャーに求められているといえるのです。  営業組織を不幸にするマネジ  メントの3つの「無」  生成AIの活用が盛んになる際に、マネー ジャーが避けるべきコミュニケーションを3つ の「無」として紹介します。それは、無能・無 知・無謀の3つです。 ●無能  「AIなんか頼ってんじやねえよ! とにかく 電話かければいいから!」  といったような、そもそも生成AIへの理解 や活用に対して、本質を捉えていない無能的な コミュニケーションです。  「自分が知らない、わからないから認めない」 といった知識や体験への既得権益が発動されて います。 ●無知  「私はよくわからないので、AIの言う通りに してやってみたらいいんじやない?」  あなたが上司からこのようなフィードバック をされたらいかがでしょうか? この人は「何 も知らないんじやないか」「自分の答えがない」 という印象を抱くことでしょう。こうしたコ ミュニケーションが増えると、営業担当者はマ ネージャーに相談を持ちかけなくなります。 ●無謀  「AIがそう言うなら、とりあえずやってから 考えれば?」  とりあえず試してみる、という習慣を否定す るつもりはありません。しかし、こうしたコ ミュニケーションが増えれば、計画性のなさや 兎にも角にも行動といった、ある種の根性論や 感覚論を露呈することになります。  本来はAIが出した出力に対して、マネー ジャーなりの見解や判断があって計画的にコト を進めるべきなのです。  AI活用組織になるための段  階目標の描き方  生成AIの活用に限らず、最適な目標や指標 を持つことが営業マネジメントには重要です。 しかし、生成AIの活用における目標設定の正 解や参考にする情報が少なく、苦労する実態が 営業マネージャーを悩ませます。  そこで、生成AIの活用における段階的な目 的と目標の参考例を紹介しましよう。 ノツステップー‥実証実験フェーズ(図5‐1)  多くの組織がまずは自分たちの会社で生成A Iを活用できるか、活用するならどのような方 法かを見極める段階を作ります。実証実験の フェーズでは、目的を「生成AIの活用におけ る方針を決める」ことと置きます。つまり、生 成AIを試してみて、「本格的に取り入れるE 取り入れない」という意思決定があり、取り入 れる場合は、なぜ・なんのために(Why)/何 を(Whlt)/どの組織で(Wher e)/誰が (Who)/いつ・いつまでに(When)/どう やって(How)を決めていく必要があるのです。  逆にいえば、この方針を定めるための実証実 験を行うともいえます。 /Dステップ2‥スモールサクセスフェーズ         (図5−2)  新しいサービスや概念の普及は、それが生産 性や効率性のアップに繋がることだったとして も、最初は営業現場に仕事を増やす指示をする ことになります。反発やアレルギーを組織全体 で起こして収集がつかなくなる前に、特定の部 門やチームで成功体験を作って、社内に広めや すい土壌を作ります。 ノツステップ3‥全社展開初期フェーズ(図5         −3)  社内の営業パーソンが、生成AIを活用して 成果を出すには段階的な目標が必要です。まず は営業パーソンが生成AIを使ってみる、とい う状態に対する目標を置き、オンボーディング (慣れるためのサポート)指標を作りましよう。 ノツステップ4‥生成A−で成果を上げる         フェーズ(図5‐4)  生成AIを活用したことで、全社で生産性を どのように高めるか目標を設定します。可能な 限り定量的にモニタリング(測定)できる目標 が望ましいですが、売上や受注数の目標に限定 される必要はありません。なぜなら売上や受注 数などを構成する要素は、生成AIの活用以外 の取り組みも交わって、影響力を発揮するから です。  その場合は「営業時間外の時間を1人あたり 平均10%減らす」といった状態目標の設定でも 構いません。ただし、ポイントは状態目標で あっても「測れる」数値の目標を置くことです。 ノツステップ5‥個別化フェーズ  日常の習慣行動になったあとは、生成AIを 活用するという「手段」を目標に掲げるのでは なく、本来の目的に立ち返った目標を「個別 化」した上で設定します。  この頃には、生成AIを使いこなせる度合い も営業パーソンによって大きく差が生まれてい ることでしょう。したがって、営業組織や営業 マネージャーは人それぞれの利用度合いや習熟 度に合わせた目標の設定を行っていきます。つ まり、個々人の営業目標を達成するための手段 や、主目標以外のサブ目標やチャレンジ目標に 組み込まれていくイメージです。  生成AIの活用は「2年後の  約束を果たす」ための投資  あくまで私の予想の範疇を超えませんが、生 成AIの活用度合いが、営業組織としての競争 優位や業績として「如実な差」として出てくる のはおそらく2年後あたりだと考えています。  もちろん、仮説には根拠があります。  2023年は、まだ日常的に利用している営 業担当者がわずかH%ということで、現実的に は実証実験とまずは利用率の向上に重きを置い ている企業が多いようです。一方で、まだ日常 的に利用はしていないものの、一部の組織で試 験運用を始めたり、タスクフォースなどを形成 し、実証実験やガイドラインを作成した企業も H%以外に存在します。  こうした前提から考えると、本書を出版する 2024年に生産性や効率性の向上に指標を置 きはじめる企業が多くなるでしょう。おそらく、 2024年は「営業組織の効率アップや生産性 向上を実現した」という汐?3y才「がビジネ ス系のメディアを一定賑わすことになると予想 しています。  このことは、第3章でも解説した通り、採用 活動で生成AIやテクノロジーの取り組みに積 極的な企業が優位になるというデータからも、 仮説が立ちます。  一方で、本書を執筆している2023年12月 末の今日この段階で生成AIを使っている営業 とそうでない営業が、2倍も3倍も成果に差が あるという話はまだあまり耳にしていません。 これが1年後の2024年末あたりになったと き、会社レベルで比較したときに信じられない 差が生まれているか、というと時期尚早だと考 えます(特定の行為や時間が2分の1になるといったこ とは発生すると思います)。  とはいえ、2023年の1年を振り返ると、 生成AIも短期間でかなり進化してきました。 おそらくこれは今後も継続した進化があること を前提にすると、2年後の2025年末には、 生成AI自体の頭の良さや利便性は、格段に上 かつているのだと思います。  そうした場合に、2年後あたりには営業組織 の生成AI活用のスタンダード化と生成AI自 体の進歩によって、目覚ましい売上実績の向上 や生産性アップの事例が増えると考えました。  それと同時に、2025年末のその時点から 「いよいよやばい……さすがにうちも生成AI を始めないと……」と思う企業があったとしま す。  そのときは、”進化したAIの世界で今さら 何をやっていいかわからない”とかズフから生 成AIを利用したところで、これまで使ってき た企業に追いつくには時間とコストが掛かりす ぎる”という現実に直面すると想定しています。  そうです、2年後に始めるのではもう遅い。 未来の競争力を手に入れるための「2年後の約 束を果たす」投資が、今なのです。  だからこそ、生成AIの活用が短期的な成果 や業績に結び付かなくても、起こるべき未来に 備える必要があると考えますし、普遍化するま ではリーダー、マネージャーが粘り強く発信と 要望を続ける必要があると考えます。  生成AIを活用していくことを前提としてい る企業の中期経営計画には、おそらく生成AI というワードがちりばめられていくことでしよ  知的でスマートなセールスプロセスは 「すでに」始まっています。  生成A−は様々な企業で導入され、セー ルスプロセスの中に組み込まれ始めていま す。  しかし、その具体的な活用実績や成功事 例の多くは、まだ私たちの耳に入ってきて いません。その理由のひとつに、そもそも 生成A−の活用が、競合他社との差別化や お客様に選ばれる理由をつくるための取り 組みであることが考えられます。  うまくいった手法や取り組みを公開して しまうと、競争力を身に付けるために取り 組んだ意味がないからです。  それでは日本の営業生産性はいつまでも 高まりません。  本書では生成A−の活用によって、「A −パフォーマー」の育成や「インテリジェ ントセールスプロセス」の導入が少しでも 成功に近づくように、先駆者の取り組みを 2パターンほど紹介します。  しかしながら、企業の体制や背景が全く 同じシチュエーションということはありま せん。  手法論だけ切り取るのではなく、考え方 や向き合い方を学びにして、抽象度を高め てあなたの営業組織やセールスプロセスで もご活用ください。  nMM】ディップ株式会社  最初にディップ株式会社が行った営業×生成 AI活用のヶIスを紹介します。  2023年8月、営業と生成AIという分野 において業界で話題を呼んだニュースがありま した。  そのタイトルは”200以上のテンプレート、 250名のアンバサダーーディップ、社員 3000名のAI活用を目的とした「dip AI rorcejを始動”というものです。  ディップ株式会社といえば、「バイトル」を はじめとした人材サービスが有名ですが、最近 ではDX事業にも力を入れている企業です。営 業職が多く、営業に強い会社として認識してい る人も多いはずです。  そんな同社が、営業職を中心とした社員 3000人に、「生成AIを活用させるプロ ジェクトを始動した」というのですから当然高 い注目を浴びました。  しかも8月8囗のニュースリリースでは、こ の取り組みを試験的に始めるということではな く、250人以上のAIアンバサダーが全社的 に配置され、約3000人の全社員を対象にA I活用が推進される、ということが決定された というリリースでした。営業社員の事務作業時 間の約60%を削減し、商談の質の向上を図るこ とで、3年で営業生産性を1・8倍に引き上げ る、という具体的な目標まで設定されていたの です。  生成AIを活用した、AIパフォーマー創出 やインテリジェントセールスプロセスの活動報 告や成果事例の情報がまだ少ないため、同社の 取り組みは貴重です。  こちらについて、本書でも取材をしているの で参考情報としてシェアします。  [取材にお答えいただいた方: dip AI Force責 任者小池敏様] 一業務内容について  ディップ株式会社は、」abor force solution company”をビジョンに掲げ、少子高齢化によ る労働力の減少と先進諸国の中で大きく劣る生 産性の低さを解消するべく、人材サービス事業 (求人情報サービス、看護・介護領域の人材紹介)、DX 事業を展開しています。 一組織体制  20名からなるプロジェクトチーム「dip AI Force Jを立ち上げ、8月8日に情報公開をし ました。  「dip AI Force Jは、「現場主導」「スピード」 「全社横断」をコンセプトとしたAI活用を推 進する組織です。  AI活用の教育を受けたアンバサダー250 人を旗振り役としてすべての部署に配置し、 「nF己涓」のプロンプトの整備などを現場と  一体で進めています。すでに全従業員約  3000人(内営業職約{x000人}のうちほぼ6  割が日常的にAIを活用して業務を行っていま す。現場主導でAI活用を推進し、生産性向上 に向けて取り組んでいます。 一生成A−を活用した具体的な取り組み  当社の社員同士のコミュニケーションは、ほ とんどがビジネスチャットツールを使用してい ます。  日常的に社員が利用するビジネスチャットで 生成AIを利用できる環境を作れば、生成AI の利用を習慣化するハードルは下がります。  生成A−活用という取り組みを社員に”増や す・課す”のではなく、日常的に業務で行って いたことを生成A−に任せて”なくす・減ら す”ことができれば、業務効率化や営業品質は 高まります。  そこで取り組んだことは、ビジネスチャット 上で生成AIを利用できるようなチャットポッ トツールを開発して、API連携の上で運用に のせたことです。  その結果、全員が閲覧可能なチャンネル (チャットの部屋)で、チャットに話しかけるスタ イルで生成AIを利用できるようになりました。 そのチャットグループでは、様々な社員が生成 AIと対話を重ねることで、営業に役立つ情報 を集めたり、営業を便利にするためのプロンプ トの開発を日常的に行っています。  情報が欲しい本人はもちろんのこと、その履 歴ややり取りを見るだけで、社員の生成AI活 用リテラシーは高まりますし、便利なプロンプ トや情報が棚ぼた(棚から牡丹餅)システムで集 まってくるのです。  その中のひとつの取り組みで、生成AIを活 用した営業ロールプレイング(模擬商談)が広が りを見せました。  公開されているチャンネル内で、皆が様々な 条件で試したり、プロンプトを作ってば更新す ることで、その精度が高まり、「自分たちも試 してみよう」と話題を呼んだのです。顧客ステ イタスをかなり細かく設定し、ロールプレイン グの評価項目や評価条件を詳細にすることで、 実用的なロールプレイングシステムとなりまし た。  現在はこのロールプレイングシステムをさら に進化させ、顧客のタイプ別や置かれている状 況別のロールプレイングケースを作成するよう になり、幅広い能力の開発にも繋がっています。 一生成A−の利用におけるBefore After  営業職の商談ロープレはこれまで先輩・上司 と実施していましたが、AIと音声で練習がで きるようになったため、相手役の工数の削減に 繋がると同時に気兼ねなくロールプレイングが できるようになりました。  ロールプレイング相手役の関わる時間は、平 均月10時間/1人の削減に繋がっています。  相手がいる場合のロールプレイングは、相手 の知識や経験に基づくシチュエーションであっ たり、よくあるケースを何度も実施するという パターンが多かったようです。  しかし、相手や時間や場面を選ばない生成A Iとのロールプレイングは、訪問前にその業 界・そのお客様を想定したロールプレイングを 実施できるようになったため、早期効果を見込 めます。  また以前はフィードバックの内容が、相手の 知識量や営業スタイルによって「違い」が発生 していましたが、生成AIとのやり取りだから こそ、常に一定のフィードバック精度が担保さ れ、生産性も高まっています。 一具体的な成果  弊社はこれまでに挙げたような、対話型生成 AIツールだけでなく、AI実装の様々なサー ビスを積極的に活用しています。例えば、A− 議事録・商談(他社開発)ツールの活用により、 上長への商談報告にかかる時間は80%減り、未 取引企業のアポ取得率は80%増加しています。  商談時間の担保や、業界知識を生成AIを活 用し、情報を集められたことによってホテル業 界などの特定分野の受注率が300%改善した という報告も上かつています。  また、生成AIの活用は他社製品だけに留ま りません。当社の場合、求人メディアを扱うた め、日常的に原稿を作成することから、自社開 発をした原稿改善ツール「あいぺん」を開発し ました。「あいぺん」については、月1000 時間以上の時間を代替することに繋かつていま す。  同じように、自社開発をした求人原稿の表記 検査では、求人原稿の検査AIを活用すること で工数の約70%削減に繋がり、案件増加にも対 応する体制を作ることができました(※いずれも トライアルで導入している部署における効巣)。 一今後の展望  2023年4月より「人」が行っている業務 の多くを代替する可能性を持つ生成系AI技術 にいち早く着目し、人材紹介サービスの収益構 造を刷新するために『AIエージェント事業』 の開発を開始しました。  「大量の求人情報から検索する・選ぶ」方法か ら「対話しながら最適な仕事に出合える」方法 へと進化し、採用率を大幅に高めていくことを 目指しています。AI戦略のスペシャリストで 東京大学松尾豊研究室の成果活用型企業である、 株式会社松尾研究所と連携して共同研究をする など、早期実用化に向けて開発を進めています。  nMM】株式会社セレブリツク      ス  私の在籍するセレブリツクスでは、主力事業 のひとつにB10Bの営業代行があります。  営業活動におけるセールスプロセスの一部、 もしくはすべてを弊社の営業人材が代理して行 うサービスであり、人員不足や営業ノウ(ウの 不足を解消することが可能です。  弊社の営業代行サービスの中でも、いくつか 生成AIを活用して営業活動のプロセスを代行 するプロジェクトが増えてきた中で、今回はイ ンサイドセールス(非対面営業)での成功実績を 紹介します。 「この営業はひと味違う」を15分でつくる生成 AI活用 〜∩圃内圃ま煦Xの営業代行プロジェ クトの事例〜 一商品概要(営業する製品や品目) 一動画マニュアルソフト(弊社が支援した営業代行  事例) Iターゲットとして、マニュアルが必要、マ  ニュアルの変更が盛んになる企業、および初  期教育などに ■労力が発生している企業がターゲットとなる  (製造業/小売業/物流業/飲食業/食品業) ■業界や従業員等の制限はなく、不特定多数の  企業の営業ができる 一組織体制 一営業活動・セールスプロセスにおいて、アポ  インド獲得までと商談以降を分業している ■アポイント獲得までのインサイドセールスの  役割をセレブリックスが代行している状態 ■獲得したアポイントを、クライアントの  フィールドセールス(訪問営業担当)にパスし  ている 一生成A−を活用した具体的な取り組み  セレブリックスがインサイドセールスを支援 しているプロジェクトで、生成AIを活用して 商談獲得の生産性を高める実証実験を開始しま した。  具体的にはインサイドセールスにおける、反 響で獲得した見込み顧客情報へのコミュニケー ション(SDR)に生成A−を活用することで、 短時間でお客様に「この営業(会社)はウチの 業界に詳しいな」という、信頼を形成するコ ミュニケーションを築くための生成A−活用で した。  反響営業でのインサイドセールスにおいては、 初期対応のスピードやレスポンス対応がお客様 の評価や体験価値に直結するといわれています。 また、今回のリード(見込み客情報)の中には、 問い合わせのようにホットなリードだけでなく、 展示会で名刺交換をした企業や資料などをWE Bサイトからダウンロードしていただいたお客 様も含まれます。こうしたお客様に初期対応が 遅れると、繋がりにくくなったり、他社との話 を進められてしまっていたりと、ビジネスチャ ンスの損失に繋がります。  一方で、お客様の業界に精通していたり、仮 説を持ってコミュニケーションを取らないと、 「とりあえず名刺交換をしただけ・情報収集の ために資料をダウンロードしただけ」という状 態から、お客様の態度変容に繋げることは難し いでしょう。  そこで今回のケースでは、反響リードにコ ミュニケーションを取るインサイドセールス担 当(SDR)が、リードや問い合わせに対して、 生成AIを活用して業界知識を装着し、「業界 あるあるがわかる」ひと味違う営業担当をス マート×スピーディに作り上げた事例を紹介し ます。 一生成A−の利用におけるBefore After  結論としては、お客様にコンタクトできてか らのアポイント取得率が3・3%向上しました。 新規営業におけるアポイント獲得率が3%以上 高まるというその意義は大きいのです。  仮に1人の営業担当者が1囗10人のキーパー ソンとコンタクトしているとすれば、3件のア ポイントを増やすことができます。  それが1か月であれば20件、年間で見れば 240件の商談が増えるという計算になります。 仮に顧客平均単価が年間200万円の商品を 扱っていたとして、商談受注率が10%として計 算すると、(240商談y受注率10%)×平均単価 200万円=4800万円の売上向上のポテン シャルを秘めていることになります。  〈Before)  生成AIを利用するまでは、反響リードに対 して営業担当者がWEBサイトなどの情報を短 時間で調査し、仮説を立てて、コミュニケー ションを図っていました。  しかしながら、短時間で調べられる情報には 限りがあり、実際には汎用的なトークスクリプ トに基づく対話をしてしまうケースがほとんど でした。  結果としてスピーディな対応はできていまし たが、お客様にとって「話がわかる特別な存 在」になれていたかというと、そうではありま せんでした。  これを個社ごとにしつかり準備や調査の上で コミュニケーションを取ろうとすると、相当時 間がかかり、お客様に満足のいくスピード対応 やレスポンス対応が図れなくなります。  本来、理想の手順としては、業界情報や業界 トレントの理解↓業界におけるマニュアルや教 育の情報収集↓問題発見や想定課題の仮説構築 ↓提供サービスが役に立つ理由の意味付けを行 う必要があります。  かつ難しいのが、業界特化のサービスではな い点と反響対応のために営業側でターゲット業 界を限定しにくい点が、顧客解像度をクリアに する難易度が高かったといえます。  〈After)  この間題を生成AIの活用とプロンプトに よって解消することに成功しました。  プロンプトでは、お客様の立場を想定した役 割を付与するリクエストをしたことで、想定課 題の把握や、業界ならではの言語の把握を効率 的に収集できるようになりました。  例えば、製造業におけるガラスなどのメー カーに対してコミュニケーションを取る際に、 「ガラスでのオートクレーブという装置がある が、これを利用するのに必要なスキルは何か。 指導者の立場で答えなさい」といった問いを与 えることで、お客様の目線に立った注意事項や 言葉選びができるようになりました。  結果として、反響獲得後にインサイドセール ス担当は、インプット時間を最短10分で済ませ、 早期にお客様対応に向き合うことを実現可能に しました。  お客様の情景や共通言語を活用することで、 コンタクトしてからの対話のラリーが増加した り、お客様の反応や温度感が明らかに良くなっ たことを感じています。  結果としてコンタクトアポイント率は、生成 A−を活用する前の月と比較したときに、3・ 3%向上することに成功しました。  それでもやっぱり「人間らしさ」がモノ を言う。  労働人口が減少する中でも、高い目標や ゴールを目指し続けるためには、営業生産 性を向上するための、業務プロセスの見直 しが必要です。  その方法のひとつが、営業プロセスに生 成A−を取り入れることで、知的さとス マートさを手に入れようというのがこれま での話でした。  しかし、生成A−の登場で「人間らし さ」が失われるかと言うとそうではありま せん。むしろ、超A−時代がくればくるほ ど、優秀なA−パフォーマーは「人間らし さ・人間味」で勝負をしていくことでしよ  第7章では、A−時代に「あなたから買 いたい」と選ばれる理由となる、情緒的な 部分や人情的な考え方にも触れておきま しょヽつ。  なぜなら「知的でスマートな営業」と言 う結果は、必ずしも近道ばかりではなく、 一見遠回りに見える行動や姿勢の先にも存 在するからです。   「足で稼ぐ営業」に未来はあ  るのか冫・  AIによってなくなる職業に度々「営業」や 「販売」に関連する職業が軒並みランクインし ています。本書で触れているように、これから の営業職に求められるスキルに、生成AIやテ クノロジーを駆使して高いパフォーマンスが発 揮できる人が重宝されるのは、ほぼ間違いあり ません。  一方で原点に立ち返ると、スマートであると いうのは目標を達成するための手段でしかあり ません。  営業組織や経営者が求めるのは常に「結果が 出せる営業」なのです。また、お客様からすれ ば、「結果が出る商品(サービス)を提案してく れる営業」を求めているのです。  その観点からいえば、スマートを装った結果 が出せない営業のほうがはるかにタチが悪いの です。というよりは「結果が出せない(結巣に繋 がる行動やプロセスをたどれていない)営業」はス マートでも何でもありません。パイプランドの 洋服を身にまとって着飾っていたとしても、エ レガントなたたずまいや品性のある行動、魅力 的なコミュニケーションを取れない人をスマー トだとは思わないですよね。  どうか本書をご覧いただくあなたは、見掛け 倒しの「頭でっかちな営業」にはならないでく ださい。  3K営業が差別化になること  だってある  3K営業(勘・経験・根性)と呼ばれるいわゆ る足で稼ぐ泥臭い営業というものに未来がない かといえば、「なくなる」と決めつけるのは強 引だと考えます。  私の示す結論は、「計画性のない」3Kが悪 であり、3Kの思想自体は善でもあるというこ とです。  大前提、「数撃ちやあたる」理論で闇雲に無 作為営業をすることは私も否定派です。  ただし「n=1」つまり、ある特定のお客様 から契約をいただくためのシーンとして、「足 で稼ぐ」や「泥臭さ」は必要な場面もあるので す。  結局のところ、お客様の心を突き動かすのは 「あなたの役に立ちたい」という想いが伝わる かどうかも重要であることはいつの時代も変わ りません。これは法人営業でも同じことです。  お客様からすれば、誠意を持っていつも気に かけてくれる営業とそうでない営業を比較した 時に、最後に選ぶポイントは、「どれだけ白分 たちに向き合ってくれたか」という合理の先に ある、人間関係の影響力が発揮されることもあ るはずです。  不思議なことに、あれだけ毛嫌いされる「足 で稼ぐ営業」がお客様に選ばれる理由になる可 能性も秘めているのです。      −−      一正しいターゲットに、熱意を示すた        めに足で稼ぐことも必要。これは  「投資」である 一ただし、提供価値を見出すことので  きないターゲット外のリストに闇雲  に営業することは「浪費」であり迷  惑行為である。つまり足で稼ぐかど  うかが問題なのではなく、探客  (ニーズのある正しいターゲットを探すこと)  ができていない「場あたり」営業が  悪なのだ  購買する側だって「3K」だ  先の話に繋がりますが、いかに法人といえど 合理的な見解だけで購買の意思決定をするのは 非常に難しいですし、購買の成功確率を少しで も高めようと考えるなら(購買の不安を取り除くた めに)、営業パーソンの姿勢や熱意も検討要素に 入ってくる可能性があります。  購買の検討を進めるのも、購買の意思決定を するのも、社内の一人の人間による問題意識や 想い、そして情熱がコトを進めます。  購買者の立場を覗いてみましよう。  法人組織の中で購買経験がない人は、購買者 の置かれている立場や気持ちを知っておくとよ いでしょう。企業の中で購買の意思決定を進め る、進言するというのは私たちが思っている以 上に「非常に複雑で重い」のです。 一そもそも課題なんて山ほどある。全部取り組  んではいられない 一その問題や課題を「解決すべき!」と顕在化  させた以上、無視はできなくなる 一問題や課題について、社内で進言したり手を  挙げた人に仕事はやってくる(高負担) ■課題を攻略する方法として、営業の提案以外  にも選択肢はたくさんある ■しかし、営業はだいたい皆「いいことを言  う」。商品面だけでの合理的な判断は難しい ■企業内で導入の意思決定をしようとすると反  対者や足を引っ張る人が高確率で登場する ■導入したものの、思った以上に利用されな  い/うまくいかない/改善されない ■失敗した場合に責任を取らされたり、立場を  悪くする  上記は一例ですが、購買検討の推進や意思決 定が「重い」ということはご理解いただけたで しょう。  購買者は自社の問題や課題と照らし合わせて、 論理的かつ客観的な判断に努めようとするもの の、理屈だけで購買や導入がうまくいくはずも ないので、最後は3K(勘、経験、根性)的な購 買検討や意思決定に頼るのです。  この営業や提案を信じてみよう、という〈直 感(勘)〉は働きますし、経験があるからより良 い意思決定もできるはずです。  また、反対意見を押しのけたり、協力者を募 る活動、導入後の定着に向けては〈粘り強さ (根性)〉が肝になるはずです。そしてこれらを やると決めて突き動かすのは「覚悟(気合)」な のです。  購買側かこれだけ3K(勘、経験、根性)の状 態で判断、行動しているのです。営業だけが雰 囲気スマートであろうとするのはフェアではあ りません。       −−       一勘、経験、根性という言葉はネガ        ティブな言葉に聞こえるが、それは  実は表現の影響かもしれない 一特別であろうとするならば「泥臭  い」と言われるような行動は必要で  ある。 一〈勘〉は研ぎ澄まされた直感や美意  識、〈根性〉はやりきるカー粘り強  さ・あきらめない精神、〈気合〉は  本気度や覚悟と使命感 一言葉を換えると、その重要さはあら  かじめみんな知っているのだ  3K営業はなくならない、変  わるのはシチュエーション  本書で触れる、知的でスマートな営業プロセ スを目指す「インテリジェントセールスプロセ ス」や、生成AI、AIパフォーマーを育てた からといって、3Kはなくなりません。  生成A−が出したクリエイティブやコンテン ツを選ぶのはあなたです。  その判断基準は過去の経験や美意識、善悪の 基準をもって、最後は直感に頼って決断を求め られることになるのです。  そして、生成A−から、理想の回答を導くた めに「慣れる」「習慣化する」のには根性や気 合いが必要です。  今までなくてもどうにかなったものなので、 新しい習慣やオペレーションを根付かせるため には、根性も気合も重要です。多くの方が途中 で挫折してあきらめてしまう中、むしろ、ス マートな営業を前進させるのが、強い熱意を 持った3K営業の推進者かもしれません。  セレブリックスでも私自身のテーマでも、 「営業を科学する」というスローガンを掲げて います。営業という職業、技術、活動を体系的 に捉え、再現性を持たせることを目指していま す。  さて、この「科学」という言葉を聞くと表現 はエレガントでスマートですが、実際はどうで しようか?  営業という枠を越えて想像してみましよう。  あなたのイメージする「科学者」は、直感で いろいろ実験を試していますか? 何度失敗し ても試行錯誤と実証実験をあきらめない心で挑 んでいますか? 膨大で壮大なテーマに対して、 使命感や探求心をもって「白分か解明する」と いう情熱を持って向き合っていますか? おそ らくすべてが「べa」となったでしょう。  そうです、科学の道のりはいばらの道であり 泥臭さの結晶です。  これは科学という大袈裟な言葉を使わなくて も、メカニズム(仕組み)に置き換えてもいいで しよう。  エレガントでスマートなのは、科学された結 果や状態を指すのであって、その道中やその結 果をつくるためのプロセスは3Kができる人の 存在が必須だと考えます。  繰り返しになりますが、「計画性のない」3 Kが悪であり、3Kの思想自体は善でもあるの です。  営業は専門化の時代へ  〜求められるニューヒーローの存在〜  営業職の未来に焦点を定めて考えていきま しよう。  一般的に生成AIの登場で、ホワイトカラー の仕事が減り(AIに仟され)、より人間らしい仕 事が生き残るという情報を目にします。営業の 世界ではどう考えるべきでしょうか。  私は「生成AIを使える営業とそれ以外の営 業」という二極化の時代で捉えるのはよ讐フ と考えます。使える人だけが残るとも思いませ んし、使うことが求められない営業だってある と考えるのです。  まずそもそも営業職という仕事を、私たちは 大きな”かたまり”で認知しすぎています。  次の[図7‐1]をご覧ください。この図は 営業という職業における「役割」を比べながら 整理をした図解です。 〈B圃C(個人向け)営業〉と〈法人向け営業〉 といったように同色で、同階層の種別を分けて 記載しています。本来であればBいC営業の他 にBいG営業(公共向け営業)なども比較対象に あるはずなので、これでも到底網羅などしきれ ていません。  法人営業の階層で対比構造をつくってみると すれば、〈パートナー営業〉と〈直販営業〉に 仕分けることができるでしょう。  代理店や取次店を通すか、利用企業に直接売 るか、これだけ比べても求められる性質がまる で異なるのが想定できるはずです。  それなのに私たちは、いつまでだっても「営 業とは○○であるべき」という、抽象度の高い テーマで営業論やキャリアが語られます。これ はスポーツ競技でいうところの「陸上競技」と いうくらい粒度の粗いテーマで職業を語ってい ることになります。  陸上でも、短距離走と砲丸投げでは、筋肉や トレーニングの内容も異なることは中学生だっ てわかるはずです。  「営業」という職業が、体系的に調査・研究さ れてこなかった理由のひとつが、営業という職 業をチャングダウン(塊を細かく分けること)して、 調べる・比べる・実験する・構造化するという ことができなかったからだと考えます。  セレブリックス営業総合研究所では、このブ ラックボックスを解明するために「職種別営業 スキルの調査レポート」を作成し、WEBサイ トで無料公開をしています。個人情報の入力な どの手続きの必要もなく閲覧できるのでぜひご 覧ください。  さて、話を戻しましよう。  生成AIはすべての「営業職」で求められる かといえば、そうではないというのが私の主張 です。先はどのように営業職をチャングダウン していけば、生成AIが活躍するシチュエー ションの大小は少なからず発生すると考えます。  例えば、既存顧客へのリレーション構築営業 と新規顧客開拓営業。どちらが生成AIの恩恵 を受けるシーンが多いかと問われれば、新規開 拓営業でしょう。  なぜなら、都度異なるお客様への商談機会が 発生するため、第3章で解説した、商談準備の 機会や調査の機会が多いためです。  またリレーション営業では、これまでの関係 の中から、お客様に直接伺うことができるため 生成AIで調べるよりも「お客様に直接聞く」 ほうが、パーソナライズされたリアリテイのあ る情報を持てることになります。  一方で、既存顧客への営業といっても、これ までと異なる部門への新規商談、今まで提供し ていた商品と異なる商品やサービスの新規提案 という側面で見れば、新たに調べたり示唆する 情報も必要になるため、生成AIが役立つ場面 も増えるでしょう。  同じように、特定の業界に特化した営業職か どうかも生成AIの活用頻度に影響があると言 えます。  例えば、業界に特化したサービスを提案する 営業パーソンと業界を跨ぎ不特定多数のユー ザーを対象にしたサービスを提案する営業職が いたとすれば、どちらが生成AIのパフォーマ ンスを発揮しやすいと思いますか? この比較 でいえば、より活用シーンが多いのが「業界を 跨ぐ不特定多数のユーザーを対象にする営業 職」の方が、成果インパクトは大きくなるポテ ンシヤルを秘めています。  さらに言えば、超高齢化社会に突人した日本、 同時にアクティブシニアといった高齢者の消費 や購買マーケットが確立されている中で、高齢 者とコミュニケーションを取る営業職も増えて くるかもしれません。そうした環境で求められ る営業スタイルが、生成AIをフル活用したイ ンテリジェントセールスなのかといえば、それ は違うのかなとも思います。購買者の属性に よっても「されたい営業」と「求める営業像」 は違うはずです。  このように、所属業界や営業種別、お客様の 属性によって営業の「理想像」は異なります。  つまり、チャングダウンされた営業の世界で は、活躍するヒーロー像が違うのです。  実は「ヒーロー像の誤解」という同じような 現象が、営業・商談シーン以外の場面で起こっ ています。そのわかりやすい例が、採用(転職) です。  転職前はトップセールスたった方が、別ジヤ ンルーカテゴリの営業職種に就くと思うように 成果が出せないということがあります。この ケース、前職では顧客や環境に恵まれていただ け、というケースも確かにあるのですが、必ず しもそれだけではありません。  実際に前職の営業現場と転職先の営業現場で 求められるスキルが異なりすぎていることがあ り得るのです。次の[図7‐2]は「職種別営 業スキルの調査レポート」で公開している、業 界別に求められている営業スキルの比較です。 注‥セレブリックス営業総合研究所で思考スキ   ル/対人スキル/専門スキルに分類し、定義・   整理した、合計259個のスキルを7000人   の営業職に調査を実施。業界や職種分類別に求   められているスキルの違いに何かあるのかを研   究した。  このように同じメーカーでも、化学系のメー カーと住宅設備メーカーでは求められるスキル ランキングが異なることがわかります。  化学系メーカーの場合、最終消費者向けの商 品なども展開していることから、営業先である 小売店や販売代理店に対して、キャンペーンと 適用させた売り出し商品の積極展開や、店頭で 積極的に取り扱っていただくための訴求や交渉 がスキルとして求められるのです。  住宅設備の場合は、住宅設備といういずれか の製品を取り扱う性質があることから、競合と の比較や優位性の訴求が求められます。  次に職種別の比較も見てみましよう(次ページ 参照)。 「職種」という観点で比較しても、ランキング の内容や優先順位が異なることがわかります。  また、同じ「判断力」という対人スキルの表 現を用いても、営業職種によって意味合いや求 める性質が異なることが窺えます。  さて、生成AIとは直接関係のない話をしま したが、「営業職の未来と生成AI」という テーマで考察を述べる際に、単純に生成AIが 活用できるか、できないかという二極化ではな く、営業職を小さな塊にチャングダウンして、 それぞれの営業職種で重要性を考えるべきと言 うのが私の主張です。  ただし、だからといってあぐらをかいていい わけではありません。  営業という職業は残念ながらお客様と向き 合っている純粋なセールスピユアタイムよりも、 社内会議、社内業務、提案書作成、見積作成な どの対人対応以外の作業時間に充てている時間 が多いというレポートが各所から出されていま す。  そうした観点でみれば、あなたの仕事はAI に奪われるのではなく、「生成AIを使える同 僚」に奪われていくのかもしれません。  いずれにしても、これからの時代のニュー ヒーローはその分野の専門性を持った営業職で す。  特定の分野にフィットした、生成AIの活用 方法や自身のスキルとの組み合わせを図ってい くことが大切です。       −−       一自分の実績を聞かれて答える人はそ        れなりにいるが、自分が持っている        スキルや専門性は?と質問すると答        えられる人は驚くほど少ない 一自分の持っているスキルや能力を言  語化して棚卸をしてみる 一その際に、そのスキルは業界や職種  を変えても持ち運び可能な「ポーク  ブルなスキル」なのか、それとも特  定分野で輝く「専門スキル」なのか、  判別してストックするとよい 一ただし注意が必要なのは、それがノ  ウ(ウ(Knowエ〜)やスキルなのか、  それともその会社に長くいるから  「その人しか知らないことなのか」  は正しく見極めたい 一長くいたから知っていることは、ノ  ウフー(Know Who)であり、他の会  社や仕事に就いても役に立たない あとがき  書籍を執筆する際の恒例行事となりましたが、 直接的にテーマと関係のない「今井の腹の中」 をアウトプットする場として、「あとがき」に 思いを連ねていきます。  私は常々、「営業の価値を高めたい」と囗に しています。  厳密には、@営業という仕事そのものの価値 A営業が相手に与えることのできる価値を「再 定義」し、営業という職業、技術、活動の素晴 らしさを世の中に正しく認めて欲しいという願 いでもあります。  ただし、これには条件があって、市況感の変 化などによるラッキーパンチによって、お客様 に本来の価値提供ができない営業職の価値がイ ンフレしてしまうのは避けたいと思っています。  実力や実態を伴わない営業職が、一時的なま やかしで棚ぼたチケットを手にしたことで価値 が上がる(上がったと勘違いされてしまう)と、 ・「高いお金を払って雇つだのに、全然実力が  伴わないじやないか」と雇用主の期待値と  ギャップが起きてしまったり ・逆に、営業に辞められると困るので、しつか  りと要望や指導ができなくなってしまい、営  業本人の成長機会を逃してしまったり ・インフレが落ち着いた時に、「実は何も持つ  ていない」薄っぺらい営業として、メッキを  はがされてしまう  というように、冷静になった時に自分白身を 苦しめる可能性があるのです。  また、「価値ある風の勘違い営業」が増える と、購買体験を悪化させ、中長期的にみるとむ しろ職業における価値低下を招きます。  営業にとっての価値は、お客様の購買活動に とって最良なパートナーであることに価値を置 くべきなのです。  このように、市況感で受動的に「価値が上 かつてしまった」のではなく、正しいあり方や 正しい技術を身に付けた、ホンモノ営業職が増 えていくことが私の理想です。  そうした先に、クリエイティブでインテリ ジェンスな営業活動を推進できる人が増えてい き、「営業つて優秀だし、なんかカッコいい」 という世界観を築きたいと考えています。  それが「Sales is Cool」構想であり、私のス ローガンなのです。  セレブリックスは、2023年H月に法人営 業の調査・研究機関であるセレブリックス営業 総合研究所(営総研)を立ち上げました。  これによって、営業の価値を再定義し、より 良くしていくための情報収集や調査などに打ち 込める環境が整いました。  本書のテーマにもある生成AIの調査や、文 中に登場した職種別スキルレポートは、営総研 で調査した情報を活用しています。  今後も営業の発展と、価値向上のために役立 つ情報を提供できれば幸いです。 謝 辞  本書を執筆するにあたり、これまで以上に多 くの方の協力や支援があって、書籍の完成を実 現できました。  関わって下さった方の全員の名前を挙げたい ところですが、文字数の関係で実現できないこ とをお許しください。  まず、編集者の小川謙太郎さん。私か「生成 AIと営業の書籍を出すなら、発売囗はどんな に遅くとも5月だ、でなければ書かない方がい い」という、強い意志をくみ取って、それに合 わせて各所のアレンジをいただき本当にありが とうございました。色々な方面で、相当無理を してくださったと推察します。ジェットコース ターのようなスピード感で出版を成し遂げられ たことを、これから先もきっと忘れないでしよ  そして、そんな小川さんをご紹介くださった 株式会社アタックスーセールスーアソシェイツ の横山信弘さんにもこの場を借りてお礼申し上 げます。  本書を執筆するにあたって、様々な情報や事 例、ケースの示唆を与えてくれた皆様にもお礼 を言わせていただきます。  無知たった私に生成AIの可能性を丁寧に教 えてくださった、ASMA株式会社の鈴木章広 さん。セレブリックスのAIタスクフォースと して共に活動する、高橋龍太朗さん、堀大貴さ ん、工藤眞さん。そして河崎友彦さんに関して は、本書記載のプロンプトコレクションや、本 文に登場するプロンプトの参考例なども作成、 提供いただきました。  また、第1章の「生成AIの営業における利 用実態調査」を行ってくれた、セレブリックス 営総研のメンバーである、平本くるみさん、武 井香菜子さん、岡崎秋彦さんにも感謝いたしま す。  そして本書を執筆するにあたり、内容確認や 関係各所と調整を図ってくれたセレブリックス の広報と校閲協力いただいたオフィスサポート の皆さん、執筆にチャレンジする環境を作って くれた、セレブリックスの経営ボードや部長陣 といった同志の皆様にも、心からお礼を申し上 げます。  何より、この書籍は2023年の年末から年 始の冬期休暇期間で執筆をしています。  こうした年末年始の宗族時間を、執筆に集中 させてくれた家族には感謝してもしきれません。  小さな子ども達2人にも、たくさん我慢をさ せてしまつだので、しばらくは溺愛タイムをつ くりたいなと思います。  さて、ここまでお付き合いいただき本当にあ りがとうございました。  最後に記念すべき40代に突入したミドル世代 の最初のジョークとして、「謎かけ」を結びの 言葉に変えさせていただきます。  生成AIとかけまして、今井とときます。  その心は?  どちらも最後は「愛(AI)」で締まります (※生成「AI」XIM「AIし。  PS一この謎かけは、著者が作ったのか、 それともAIが作ったのか、どちらを予想する かはあなた次第です。